今週の雑記係の(焼)です。

雑記は雑記というだけあっていろいろと自由で、新たにコーナーをつくってもいいらしいと風の噂に聞きました。ということで唐突にコーナーを始めたいと思います。
題して「ミステリーをパズルする(仮)
\(ヤンヤ、ヤンヤ)/

学生時代、友だちがいなかった筆者の趣味のひとつがミステリー作品(推理小説や漫画、映画など)を見ることでした。割合で言うとニコニコ動画を見る時間が9時間だとしたら、ミステリー作品を見る時間は1時間くらいでした。(さすがニコリストですね)

…そういったわけであまり多読ではありませんが、事件の真相を見破ろうとしながら読んでいるうちに「このミステリーは前に見たミステリーと似ているなぁ…」などと思うことがあり、それらを分類して遊ぶようになりました。

さてせっかく分類したので誰かに語りたいのですが語るべき友人はいないわけです。困りました。困り続けて十数年、雑記でなにを書けばいいか悩んでいたときに「この分類はもしかしてちょっとパズルっぽいのでは…」とふと思ったわけです。

悲しい経緯はさておき、ひとくちにミステリーと言ってもいろいろと種類があります。社会派ミステリー、青春ミステリー、SFミステリー…他にもいろいろとあるわけですが、そんななかで筆者が特に好きなのが密室トリックを扱ったミステリーです。ということでまずは密室トリックについて分類していきます。

ご存知のかたも多いと思いながら、密室トリックとはなにかをざっくり申しますと

・密室トリック
侵入や脱出が不可能に見える部屋のなかで犯罪などをおこなうトリック。「意外な鍵のかけ方」「意外な脱出方法」などなどによって実現します。

「不可能に見える」というのは、密室トリックの魅力のひとつですね。密室が登場するミステリー作品は「一見不可能に見える事件を名探偵が鮮やかに解決していく」過程を追体験できるわけです。これは一見難解なパズルがあるひらめきによって一気に解けてしまうときの爽快感に通じるものがあるかもしれません。(なんとなくパズルにつなげられたぞ…)

さて密室トリックの分類はすでに何人かの偉大なる先達によって発表されています。いくつか書籍やエッセイの名前を挙げておきますね。(気になる方は調べてみてください)
・ジョン・ディクスン・カー『三つの棺』
・江戸川乱歩『類別トリック集成』
・天城一『密室作法』
・我孫子武丸『8の殺人』
・二階堂黎人『悪霊の館』

これだけの大家が分類をしていると筆者が出る幕がないと思われるのですが、友だちがいない筆者ががんばって分類したので続けさせてください。
筆者の分類では密室トリックを簡単に3段階に分けます。

(1)「かける」トリック
…鍵をかけるなどで密室状態を構築するトリック
(2)「たもつ」トリック
…密室状態を保持したまま室内になにかをするトリック
(3)「みせる」トリック
…密室状態を確認させるトリック

すべての密室トリックはこの3つのいずれかを必ず用いています。(多分)
パズルという言葉を用いて言い換えるなら、上の3つの制約のもとで犯人は密室という名のパズルを作り上げて、名探偵はそれに挑戦するのです。
(…パ、パズルにつなげられたぞ…ゼェゼェ)
そろそろ息切れし始めたので、最後にそれぞれの分類に少しずつ触れて今回は終わりにしようかと思います。

(1)「かける」トリック
密室をつくる上でもっともシンプルな方法は部屋に鍵をかけることではないでしょうか。ただ犯人が持っている鍵で施錠しただけでは、2秒くらいで「犯人はお前だ!」とか「まるっとお見通しだ!」と言われてしまうので色々な工夫をするわけです。合い鍵を作っておいたり、部屋の外側から糸やら氷やらを使って内鍵を閉めたり、犯人たちは色々と策を練ります。
ただ、密室状況を構築する方法は鍵をかけるだけではありません。扉の前に一人では動かせないような重いものが置いてあったり、扉に板を打ち付けて固定したりしても、侵入や脱出が不可能な密室ができあがります。
さらに「山小屋の周辺に雪が降り積もっているものの足跡がないため、侵入や脱出はできないはず」といった状況も広義では密室状況と言えそうです。

(2)「たもつ」トリック
たとえば犯人が部屋の内鍵をかけて「密室が完成したぞ!」と思っていても、そのまま部屋のなかにいては事件が発覚したときにコンマ2秒で「いや普通に犯人お前やん?」と言われてしまいます。ですから犯人はその密室状態を保ったまま、なんとか脱出したり、部屋のなかに隠れてやり過ごすことで難を逃れようとします。
あるいは元から密室内に入らずに、外側からなにかをして部屋のなかに影響を与えたり、時限式のなにかを密室内に仕掛けておいたりするトリックもあります。

(3)「みせる」トリック
どんな物事もだいたいそうだと思いますが、事実として認めてもらうためには観測者がいなくてはいけません。密室もしかりで誰かが鍵がかかっていることを確認して、はじめて「あれれ~おかしいぞ~」と思われて謎になるわけです。逆に言えばその誰かを誤認させれば、密室を偽装できるのです。犯人は誤認させるため、演技で鍵がかかっているように見せかけたり、密室内で事件が起きているように見せかけたりします。
あと、個室トイレのドアノブの表示が赤くて使用中かと思ったら、少しずれて赤が見えているだけで誰も入っていなかったというのも(ある意味)このトリックです。
(筆者もこの巧妙なトリックに騙されたことがあります)

ということで今回はこのあたりで、ドロンさせていただきます。(昭和)
次回の雑記当番のときにまた密室トリックについて掘り下げていきたいなぁ、と思います。
ではでは~。