どうも(ケ)です。おたよりが来ました。
第30回に、語呂合わせやシャレ、地口などを使ったカギについて書きました。それを読んだ方からの質問。
語呂合わせを使ったカギの例題を、自分でも作ってみたのだけれど、これらは語呂合わせに相当するだろうか、という内容の質問でした。
届いたいくつかの文章を読んでみます。どれどれ。
確かに語呂合わせ、同音異義を用いた文章です。それは間違いありません。
ではこれらは、クロスワードのカギになるのかしら、というと。
実はこれは難しい問題。考えこんでしまいました。

少し話がそれますが、クロスワードのカギだけを取り出してきて、その出来をどうこう言うのは、私はなるべく避けています。クロスワードのカギというものは、盤面とともにあるもので、盤面と切り離してカギだけを評価するのは難しいのです。
それと似た話で、ある文章がクロスワードのカギになっているのか、というのは、カギ文章だけがあっても判定しがたいのです。
もちろん、「~の答えは何?」とはっきり質問形式になっている文章ならば、カギとしての機能は十分。でも地口ネタのカギって、やや意味不明な遠回しな文章になるのが通例。その文章がカギとして機能しているか否かは、盤面と組み合わせられないと評価しにくい。
そういう理由で考えこんでしまったのでした。

あれこれ思い悩みながら、第30回のクロスワード問題、カギだけを読み返してみると。なんか意味不明な文章の羅列になっているなあ。いまさらながら恥ずかしくなってきてしまいました。やれやれ。

これは、趣向作ということもあり、カギをみんな地口ネタにしたところが問題点なのでしょうねえ。趣向作というのは詰め将棋などの用語で、問題として解かせる以外の、何かの意図を持った作品のこと。第30回の問題だと「地口ネタを詰めこむ」という意図があります。

さて、地口ネタのカギがなんで意味不明な文章になるのかというと。
クロスワードのカギというのは、「それを読んで、答えの言葉を連想させる」のが役目です。
けれど、カギによっては「答えが分かって、カギの意味が分かる」という位置づけのものもあるのです。ここが、一問一答のクイズではなく、言葉の絡みも用いるクロスワードの特徴でもあります。

もう少し詳しく説明すると。
カギを読んだだけでは入れるべき言葉は分からず、そこに交差する他の言葉を先に決めて、その結果最初の答えの言葉が何であるかが判明し、そこではじめてカギが何を言わんとしていたか納得できる、という思考の流れがありえるのです。
地口ネタのカギは、この思考の流れに則った解き方として使えます。

ですから本来、地口ネタすなわち「すぐには意味が分からないカギ」は、部分的に使うのが適切な用法なのです。すべてが分かりにくいカギだと、言葉の絡みから解かせるための部分を用意できません。
そういう意味で、第30回で載せたクロスワードは、一般的とはいえない趣向作という位置づけになります。

先ほど述べた、クロスワードのカギだけを取り出してきてどうこう言う、というのは、言葉の絡みというものを無視した一面的評価になってしまうわけです。あまりやるべきものではないですし、やるのならその意図を明確にしないといけません。

などと言った舌の根も乾かぬうちに、またもや今回も、趣向作としかいえない問題を出題してしまいます。
今回のクロスワードは、すべてのカギがチマタグラムになっています。

チマタグラムというのは、ニコリで生み出された変種のアナグラム。文字を並べ替えて新たな言葉を作る通常のアナグラムに対し、チマタグラムは、余計な1文字を足した上で文字を並べ替えて新たな言葉を作り出します。
例えば「クロスワード」に「ら」を足して並べ替えて「ドロー喰らわす(ドロークラワス)」という文字列を作り出します。解き手は「ドロー喰らわす」の中から「クロスワード」を見つけ出す、ということば遊びなのです。

今回のクロスワード、カギをチマタグラムとして解いて、盤面に入れるべき言葉を見つけてください。具体的には、カギの読み方を表すカッコ内のカタカナから1文字除いて並べ替えて、答えにたどりついてください。
なお、今回のチマタグラムはすべて新たに作ったものであり、過去作品に似たものがあっても偶然です。ご了承ください。


ではまた次回。