どうも(ケ)です。
3週間ほど前の9月6日、この「クロスワードのいろいろ話」へのアクセスが急増したのだそうです。
なんでも、朝のニュース番組で「日本初のクロスワードはなんという名前だったでしょう」というようなクイズが出たのだそうな。その影響だったらしい。「クロスワード 日本初」のように検索してみると、たしかに「クロスワードのいろいろ話」第1回が検索結果に出てきます。
ネット上にいろいろ書いておくと、共有知識のアーカイブとして役に立つんだねえ、というのが感想でした。ふだんのお仕事で私もいろいろ検索していますが、検索される側になるのはあまり予想しておりませんでした。

さて、そもそも、そんなクイズがなぜ出題されたのか。
9月6日は「クロスワードの日」とされているのです。ク(9)ロ(6)スワードの語呂合わせなんだそうな。記念日にはこういう語呂合わせって多いですよね。
ちなみに語呂合わせという由来からおわかりでしょうが、この記念日は日本生まれです。

さて、語呂合わせすなわち地口やシャレですが、クロスワードのヒント文章にも、シャレはしばしば登場します。私(ケ)もそういうヒントをたくさんつけています。
これはいったいなぜなのでしょうか。

クロスワードの盤面に書きこまれる言葉は、通常はカナ文字。カナ文字は音しか表さない文字ですから、同音異義語を使うシャレとはそもそも相性がよいのです。
それにシャレは、基本的にはギャグです。クロスワードに限らずパズルはにこにこ笑顔で楽しむべきエンタメで、ギャグであるシャレは、エンタメであるパズルとその点でも相性がよい。
さらに、シャレは知識ではなく、ひらめきやとんちで思いつき理解するものです。クロスワードのヒントは、一問一答のクイズ的な問いにもなりがちですが、そこから離れて視点を変えるためにも、シャレは都合がよい。
まあそんなこんなで、シャレはクロスワードでよく見かけるものなのです。

同音異義語の複数の意味を盛り込んだ、すなわちシャレを使ったヒント、実際の例を挙げてみましょう。他人様の考えたヒントを例に使うのは心苦しいので、むかし自分がつけたヒントを引用します。「パズル通信ニコリ」60号P.75より、シャレを使ったヒント2例。どちらも答えは2文字。
「馬場の柵が連れ去られた」
「警察消防が墨痕淋漓」
恥ずかしいので答えが何なのかは言いません。
あ、この問題、「地口が好きな頭蓋骨」なんてヒントもあるや。答えは6文字。
むかしから私、地口ネタ大好きだもんなあ。二十数年後にこんなところでさらし者にされるとは思ってなかっただろうな、当時の私。

言い訳のような説明をいちおう加えておきますが。
私がヒントで地口ネタを多用していたのは、なにもギャグが大好きだからだけではありません。シャレを使って同音異義語の存在を伝えれば、答えを連想する手がかりを増やせるな、と考えていたからです。シャレを披露したかっただけではないのです。
地口ネタの使い方も、年月を経るにつれて、上記のようなそのものずばりのシャレからだんだん変化していっています。如何にすればそのものずばりではなく、地口の意味を解き手に感じ取らせることができるか。文章のフォーマットや表現手法などで解決できないか、いろいろ悩み模索しつづけています。いま現在も成長中なのです。
と言い訳しつつ最近作を見てみましたが、成長してるのかなあこの人。

そんなこんなで今回もクロスワードをどうぞ。
シャレ、地口、ダブルミーニング、まあともかくもいろいろ詰めこんでみた問題です。なんだか脂っこい問題になっちゃったと思います。

ではまた次回。