文章:(も)
※上半期分から続いています。上半期分はこちらからどうぞ。

えー、本日は晴天なり。みなさまいかがお過ごしでしょうか。
お待ちかね、ペンシルパズル・オブ・ザ・イヤー発表の後編(下半期分)の発表でございます。
今年は前後編2回に分けて公開しておりますの。
さっそく読み進めていただければと思いますが、オブザイヤーの冒頭に必ず書いている前置きがあるので、それをここでも書いておきます。インターネッツの性質上、このページだけ読んじゃう人もいるかもしれないので。
もう箇条書きでいいかな。

●ペンシルパズル・オブ・ザ・イヤーというのは、ニコリが昨年出した何かに載ったパズルのうち、みんなの心に強い印象を残したものを推薦し拍手をする年1のコーナー。
●今年度は推薦者21名+ニコリスタッフ(将、竹、天、も)からの推薦作を紹介。
●ニコリ出版物の投稿作は数倍~数十倍の競争率の中から選ばれて載っているので、載っているという時点ですごいことだが、そのうえさらにここで推薦されたということは輪をかけてすごい。たとえるならば、欽ちゃんの仮装大賞に出場し、しかも合格を獲得するようなこと。
●本の発行日が早い順に並べています。コメントのあとのカッコ内は推薦者のお名前(敬称略)
●ネタバレの嵐なので、その点お含み置きください。

おうちで数独・推理パズル2022年夏号(Vol.4)(”22年7月発行)

推理パズル11番(P.60) 作・まいなすよん
●導入部がとても素晴らしい。冷静な視点人物が客観的に問題の条件を説明しつつ、ヒントを話す「ケンゴくん」は「好きな女性に振り回されたうえに酔っ払っている」という状態。これにより「推理パズルっぽい文章」への感情移入を無理なく促していて、ちょっと感心してしまった。
(天)

数独通信Vol.43(”22年8月発行)

数独103番(P.75) 作・豆みそ
●この本の中ではいちばん解きにくかったです。後で見返すと、なんでここに気づかなかったんだろうー?と不思議になりますが、配置のバランスが絶妙なんですね…。
(こいぬのワルツ)

懸賞数独1番(P.82) 作・福神ヅケ
●「1」と「4」など、対称の位置に対応する数字が入っているペアが相当多く、解き進める手順も対称になりそうなところなのに、この問題では手順があんまり対称でなく、その絶妙さに感心しました。とはいえ、数字の入る位置はかなり対称的なので、別の人からは異論もありました。とはいえとはいえ、私はいいと思ったので推す!
(も)

パズル通信ニコリ180号(”22年9月発行)

ヤジリン12番(P.19) 作・ZON
●終盤にあることに気が付かないと進まない場面が出てくるのですが、そのヒントが序盤に与えられていて、親切な設計に感動しました。
(RN)

リンクワーズ1番(P.33) 作・戸田蕨
●カギ4、いいですねえ。リンクワーズ最大の武器「自由さ」で、こういう味付けができるんですねえ。もっともっと解きたいですねえ。
(天)

3つの三角関係(P.39) 作・淡雪霙
●昔のニコリの、編集部による特集パズルを思い出すものでした。昔の特集パズルはすごく難しかった印象なんですが、それはそれで味があると言いますか。個人的に、コウミ=A、ミズキ=B…と名前をA~Fの記号化したら解けました。
(山本祐輔)

三角ブロックパズル(P.42) 作・ピンクの林檎
●このパズルが凄いのは、この本の販売時期に行われた、とある謎解き企画(詳細は伏せます)に使われた点。パズルの質を保ちながら「あるもの」を仕込む技術は、流石の一言です。それも表向きは企画用としてでなく、いたって普通の作品として投稿/掲載されたというのですから驚きです。これを切っ掛けに、その謎解き企画を知ることができたので、感謝しています…って、パズルの内容の話じゃなくなってしまいましたね(笑)。
(淡雪霙)

三角のピザを分けよう(P.43) 作・迷子のピザ配達員
●「ピザは裏返せないので、裏返して同じ形になるのはOKだよ。」の一文に一票を。
(まいなすよん)

クロスチック/懸賞パズル2(P.68) 作・(も)
●こんな懸賞問題はニコリにしかできない、と衝撃を受けたので。いつかのスリリン・ザ・ジャイアントの懸賞で、輪の中に入った0の数が「0」以来の衝撃でした(後略)。
(山本祐輔)
●あまりにも衝撃でした。「出した答えに自信を持って。」というコピーも、解けた人にはヒント(答え合わせ)になり、解けてない人にはネタバレにもなんにもならないところが秀逸。これもフォロワーさんとSNSで会話した思い出がある一作です。
(掛川ますみ)

スリザーリンク5番(P.75) 作・K.C.あるま
●最近あまり見ない解き筋で、逆に新鮮味があった。この問題の感想からは離れるが、パズルの解き味には流行のようなものがあって、同じ時期に届く同じパズル種の投稿作品は、作り手によって細部の違いはあれど全体的には似たような趣向が多くなる印象がある。もちろんそれらの流行も悪くないが、スリリンはいろいろなことができるので重くなりすぎない範囲で多様な問題があればいいな、と思う。
(将)

ダブルチョコ6番(P.77) 作・UNPARU
●真ん中のカタマリ地帯の考え方は、まさにダブルチョコならではといった趣き。
(も)

ペンシルズ5番(P.83) 作・積木を愛する傘
●小さい鉛筆の難手筋を緻密に詰め込んだ良問。
(半袖)

フィルオミノ6番(P.87) 作・OX
●「ペンシルパズル三昧 フィルオミノ1」に感化されて久しぶりに投稿したそうです。感化されたからといって、ここまで怒濤の展開になるとはね、という。
(も)
●美しい対称性で一気に閉じる圧巻のフィナーレ。心底感動しました。
(junkchem)

ナンバーロープ4番(P.96) 作・中井亮平
●なかなか分からなかったのですが、左上の角の10と11の共通していないマスに気付いたら、後はあっという間に解けました。
(なな)

とんとんべや5番(P.101) 作・亜富ネオン
●初登場のパズルにも関わらず、この時点で問題が洗練されすぎです。繊細さが突き抜けていました。
(けーえぬわい)
●このルールからこんな問題もできるんだと、ちょっと驚きがあった。ちょっとフィルオミノテイスト。
(も)

ネットワーズ2番(P.107) 作・ぺそぎん
●同じイラストで異なる言葉のマスが、僅か9マスの中に2組も! これが無理なく組み込まれている点が素晴らしいです。
(三瀬史学)

タめいロ3番(P.108) 作・華里雨
●読みがなの選び方と部品の配置がうまいなと思いました。
(おーもりみき)
●最初に見たときの予想を裏切られました。この組み合わせの漢字を発見し、うまく問題に落とし込んでいて素晴らしいと思いました。
(limt)

フィルオミノ7番/着順発表問題(P.112) 作・SAnd
●数独っぽい解き筋もあったところが面白かったです。
(掛川ますみ)
●中央付近からスタートし、流麗な数字運びで外周まで展開し、最後は大胆かつ繊細な10使いで締める。非常に自然で難易度感も無理がなくエレガントでした。SAnd氏はつねにコンセプトを携えつつ、同時に、解く人に無理矢理さを感じさせないように気をつけているのがびしびし伝わるので、昨今掲載率も評価もギンギンに高くなっているわけですが、その良さが余すとこなく出た佳品かなと。
(も)

ダブルチョコ7/懸賞パズル3(P.113) 作・湾狼子
●懸賞パズルでなければ、このサイズのダブルチョコには手を出さなかったかも…でもやってよかった! はまりました。
(こいぬのワルツ)
●懸賞パズルだけに慎重になり、解き終えてからカタマリごとに色をぬり分けて確認した思い出のパズル。平面をぬりつぶすときの「四色定理」を意識してぬっていったので、これはこれでパズルっぽく、2つのパズルを解いた気分になりました。
(掛川ますみ)

この号も、言葉系から特集からオモパから、いろんな推薦作が集まりました。今解こうとしてみて、そして諦めて答えを見てしましたが、タめいロは強烈ですなあ。私のように諦めずに解いてほしいですね。
ところで、私は推薦作を選ぶとき、紙面を眺めて記憶が湧き上がってきたやつを推薦しているのですが、そのときに思いだしやすいパズルと思いだしにくいパズルがあるのですね。のりのりとか四角に切れとかフィルオミノとかも、けっこう思い出しにくいなと思います。あと、ニコリ編集部のスタッフも各人、解いているパズルと解いていないパズルはあります。といった要因で、推薦しているものに関しては良いと思っているのですが、推薦していないものは理由はいろいろなので、深く考えないでくださいね。何を言わんとしているかといえば、言い訳というやつであります。いや編集当時のメモを見直すなどすればすべて解決するんですけども、ほらいろいろ忙しいじゃない。部屋の整理とかしたりしないといけないし。私はMリーグも見ないといけないわけですし。リーグ今シーズンのファイナルのゆくえも気になりますぞ!

ペンシルパズル三昧 スリザーリンク2(”22年10月発行)


スリザーリンク・ザ・ジャイアント(カバーの裏) 作・ぺんしるからす
●とある大仕掛けが何度も炸裂する名作。対称配置という強い制約の中でこれ以上ないほどの最適化がなされていて無上のこだわりを感じます。
(齋藤スバル)

すばらしい失敗 「数独の父」鍜治真起の仕事と遊び(”22年10月発行)


カバーの数独 作・(安)
●鍜治真起さんへの哀悼の意と共に、この作品を推薦します。軽快に楽しく、気持ちよく解ける作品でした。
(ヤナヘー)

“22年に2冊出した追悼本のうちの1冊がこの本でした。推薦感謝いたします。こちらの数独にはテーマがあるのですが、それが何かは、本をぜひ読んでくださいね。

ザ・ペンシルパズル2023(”22年11月発行)

スラローム16番(P.7) 作・USBe
●サイズ小さめで数字も少ないのにぎゅっ、と詰まっていて手応えつよめなのがいいです。
(こいぬのワルツ)

スラローム20番(P.9) 作・SAnd
●順番が記された旗門が一つだけという、初見での強烈な衝撃。どうやったら解けるの?と思いつつ、確定する部分をコツコツと積み上げ、見えた瞬間に一気に滑走しきるスピード感の面白さは、スーパージャイアントスラローム級、とも言える作品でした。
(ヤナヘー)

スラローム27番(P.13) 作・齋藤スバル
●大きいスラロームならではのダイナミックさもありつつ、長~いジグザグの線を描くのがシンプルに楽しいです。
(willow)

美術館22番(P.20) 作・Guten
●ここ、絶対こうなるよねー? ほらやっぱりー、と思う通りにあかりが灯っていって、サクサク解けるのに翻弄された気分になります。楽しい!
(こいぬのワルツ)

ダブルチョコ19番(P.29) 作・湾狼子
●散りばめられた1・2・5の中から、入り口を探す楽しさを存分に味わえました。
(三瀬史学)

ナンバーリンク25番(P.38) 作・ZON
●外周部の配置もとても綺麗なのに、中央で辻褄を合わせた感も全くなくてすごいです。
(willow)

ナンバーリンク27番(P.39) 作・willow
●盤面に文字を入れるナンバーリンクは配置の調整が難しい印象があるのですが(調整しすぎると文字が崩れてしまうため)、この問題は「Giant」の文字を綺麗に入れていて数字の繋ぎ方も面白く、驚きました。
(limt)
●心地よく進む中央の文字配置部分も好きですが、何よりもそこから一転、最後のオチがものすごく練られていて美しかったです。
(齋藤スバル)

ヤジリン16番(P.43) 作・ぺそぎん
●これは面白かった! ヤジリンの粋が凝縮された作品、と感じました。まるで暗闇を手探りで、慎重に解き進めるような感覚。小サイズでよくぞここまで、と作者の力量に感動しましたが、むしろこのサイズだからこそ、の作品かも。
(ヤナヘー)

チョコバナナ15番(P.54) 作・USBe
●11をうまく使った問題。10×10マスの盤面に11と入れた瞬間に白マスと確定するのね、という気づきも。
(も)

へやわけ30番(P.70) 作・SAnd
●最後の仕掛けが鮮やかでした!
(半袖)

美術館スーパージャイアント(とじこみ1) 作・ももてれう
●見た目のインパクトからして圧倒されました。スマニコリをリスペクトした10×18のボス部屋に始まり、数々の難関が形を変えて終始襲い掛かる、まるでS○SUKEのよう。
(齋藤スバル)

意外とこのシリーズからは(前身の「ニコリのペンパ20XX」も含めて)あんまり推薦作が出ないんですが、今年は多いなぁ。ナンリン27番はすごいっすね。どうやって作るんだろう。あと私の個人的注目コメントはスラローム20番で、「ペンパオブザイヤー界のミスター誉め上手」と10年以上に渡って私が言っているヤナヘーさんの、誉め上手ぶりが炸裂しているので嬉しい。永遠にお待ちしております。

ペンシルパズル選書 ましゅ1(”22年11月発行)


96番(P.89) 作・夢野あかり
●ましゅは、細かい先読みを増やすことで難しい問題を容易に作れてしまうがこの問題は面倒臭さをできるだけなくしつつロジカルな難しさを突き詰めている。よく考えられているなぁ…と感嘆。
(将)

112番(とじこみ2) 作・Guten
●面白い展開が様々あり、非常に濃い問題で解いていて楽しかったです。
(limt)
●なんといいますか、細部の微調整から解き味の気持ちよさに至るまで、まだまだ自分は修行不足だなと思い知らされた作品でした。
(齋藤スバル)
●かなり難しめの手筋が繰り返されるのですが、それだけで終わらないのがニクイ(ほめ言葉)。最後を飾るのに相応しいと感じた問題。
(将)

パズル通信ニコリ181号(”22年12月発行)


ナンクロ1番(P.28) 作・冴戒椎也
●盤面に名作文学のタイトルを多数組み込みつつ、そこに気づかなくても素直に解けるようにできています。普通に解いても解ける、テーマに気づくとより楽しく解ける、しかもテーマワード多い。「やさしさ+面白さ+作者さんの技術の高さ」の合計値がめっちゃ高い作品です。
(天)

名前をペアにして(P.35) 作・sekka
●軽い言葉遊びという感じで楽しかった。軽さと面白さが両立するパズルってむしろ考えるのが難しいっちゃ難しい。
(も)

謎解き フライドポテト王国の冒険(P.68) 作・ヤキオ
●パズル以外のページに手がかりが隠されていたり、最後の答えも予想外で面白かったです。
(くだぎつね)
●フライドポテトが主食であるフライドポテト王国に飛ばされるという、なんというかおとぼけ荒唐無稽風味の設定なんですが、解き終わってみればそれもちゃんと効果的であるところが小憎らしい。解後感はとても謎解きらしい謎解き。
(も)
●もう言うことなし! そっちにいくんか~い!
(掛川ますみ)
●「はおうのてんかん」だとおもいまいた。
(willow)

へやわけ1番(P.78) 作・いわき石川
●へやわけはパズルに慣れてない人にとっつきづらいので、やさしく、なおかつ面白い問題に仕上げるのは手間がかかる。この問題は細部まで配慮されていて、よくまとまっていると思う。
(将)

ぬりめいず1番(P.86) 作・もちけら
●ぬりめいずの1番としてふさわしい易しさ。この問題からぬりめいずを好きになる方も多いんじゃないかと思います。
(山本祐輔)

天体ショー2番(P.89) 作・USBe
●「○」も含めて最終的な絵柄にしよう、というアイデアが秀逸。
(RN)

スリザーリンク7番(P.93) 作・ケーエス
●この問題は通常の投稿ではなく、数年前までニコリがネット上でパズルを出題していたサイト「nikoli.com」用の未使用ストックから転用したもの。難しくなりすぎず、軽快にスイスイ進んでいく楽しい問題。
(将)

推理クロス3番(P.104) 作・望月幸治
●「交差しない」という斬新なヒントに始まり、序盤から変わった解き筋が求められるすごい問題。私が30分考えても分からず、難しさ「あぜん坊マーク」では?と思った。
(四次元ベクトル)

ジグソークロス2番(P.105) 作・おーもりみき
●この縛りで問題を完成させるのはすごすぎるの一言。
(RN)
●文字入りのピース11個をそれぞれ0(レイ)~10(ジユウ)に対応させるという、素朴に見えてその実だいぶ苦しいことをやっていながら、苦し紛れな部分を感じさせない自然な問題に仕上がっているのが匠のワザっぽい。
(竹)

シャカシャカ7番(P.113) 作・SAnd
●ひっかけ方がうまい! 何度も行き詰まり、消してやり直してを繰り返しただけに、解き終えたときは感慨深かったです。
(掛川ますみ)
●見せ方が工夫されていて、一本調子ではなく展開がちゃんとあるのが◎。
(将)

補足しておくと、フラポテ謎解きのwillowさんのコメントは、内容にちなんでおります。この号では「やさしさ」を感じた問題がいくつか選ばれていますね。私は今年あんまり選べなかったのですが、難易度の易しさや、難しい展開を見えやすくするような優しさは本当に大事で、そういう問題はとてもありがたいのです。派手さがなくってこういう「オブザイヤー」的な“バエ”はないかもしれませんが、編集的にはその手の「やさしさ」がある問題にはいちばん感謝しているかもしれないです。真面目な話。

スマニコリ

美術館(6月30日出題)作・上IHK
(※注 最終問題と書かれていたので、おそらくこの問題と思います)
●一つ決まると一気に連鎖して解ける爽快感が美しかったです。この美しさについてフォロワーさんとSNSで会話できたのも、思い出です。
(掛川ますみ)

スマニコリは2022年で終了でしたねぇ。なお、デジタルでなく紙媒体ですが、7月には美術館の単行本も出る予定なので、そちらもお楽しみに。


というわけで年1企画というにふさわしい長丁場でしたが、以上をもちまして、「ペンシルパズル・オブ・ザ・イヤー2022-2023」の発表は終了です。推薦作を送っていただいたみなさま、ありがとうございました。読んで気になったパズルがあれば良かったら解いてみてくださいね。
そして昨年度を通して、問題を作っていただいたみなさまに大いなる感謝を。繰りかえしますが、載っただけですごいんですよ。載らなかった人も、めげずによろしくお願いいたします。
オブザイヤーを受けての感想なども、ニコリにお便りしたり、ミクシィに書くなど、ぜひどうぞ。それでは来年度のppoty(ペンパオブザイヤー)でお会いいたしましょう!