(溝)でございます。勢いにまかせて書いてきたニコリ創刊X0周年の思い出シリーズ、最終回です。
ニコリ創刊40周年は西暦2020年、つまり昨年でした。年の初めの段階では、「ニコリまつり」同様、読者の皆様と一緒に盛り上がれるイベントを何かやろうという雰囲気が社内にあったと記憶しています。「まつり」とは違って数日にわたるイベントにしようとか、全国何カ所かでやってみようとか、会社の規模を考えるとかなり大それた提案もあったような。
そんな気運も、2月以降急激にしぼんでいきました。言うまでもなく、新型コロナウィルスが日本でも広まりを見せ始めたからです。4月には「2020年中に大規模イベントは行わない」という決定が社内でなされ、ニコリ創刊40周年を祝うのはニコリ本誌の誌上のみ、という感じに落ち着きつつありました。まあ、ご存じの通り本誌では4号にわたってにぎにぎしく記念企画をやりましたし、実は3月発売の174号でも残り火的な企画が載っていたりして、それはそれで盛り上がったのではないかと思います。私も昨年はいろいろ調べ物や取材をして、いくつかの記事を書きました。
しかし、せっかくの10年に一度の機会だというのに他に何もないのはもったいない。何かできることはないだろうか…と考えながらも何も浮かばないまま迎えた6月末。以前訪問を受けたオンデマンド出版の会社からのメールマガジンが届きました。頼んでないのに勝手に届くタイプのやつです。読まずに捨てようと思ったところで、以前その会社の方にされた話を思い出しました。「オンデマンドなら少部数の印刷もできますから、品切れ中の本をちょっとだけ刷るってことも自在にできますよ」…そこでふと思ったのです。「40周年の記念企画として、昔の本を復刻するというのはどうだろう?」と。そこからは速かった。「40周年なんだから、40冊まとめて復刻というのはどうだろう?」「ニコリ本誌って、40号で隔月刊化してるから、そこまでで区切るとちょうど40冊だな」「40周年だから4万円か44,444円だといいかも」「ちょうどみんなに10万円ずつの給付金が出たところだし、乗ってくれる人はそれなりにいるのでは?」「『40口の応募があったら実施する』というクラウドファンディング方式にすればリスクは抑えられそう」とどんどん妄想がふくらみ(ここまで考えるのに5分もかかっていないはず)、企画にまとめて提出。見積もりを取ってみたら私の予想より若干値が張ったので価格を52,500円に修正して、それ以外は原案通りでOKが出たので「ニコリ40冊復刻プロジェクト」が動き始めたのでした。
9月10日発売のニコリ172号にクラウドファンディングの件が載り、早くも同月14日には40口に到達。復刻の実施が決まりました。その後もおかげさまで順調に応募をいただき、最終的な口数は約220口(社内からの応募含む)となりました。いやあ、大成功。本当にありがとうございます。
単に昔の本を刷り直すだけだから編集作業なんて不要…と思いきや、意外と多くの作業が必要でした。パズルは別解があったり答えが載っていなかったりするし、文章は危険な表現があったり個人情報が平然と載っていたりします。わずかとはいえ広告も載っていたので、そのまま復刻していいかどうか当時の広告主に連絡する必要もあります。そのあたりを「復刻プロジェクトチーム」の(ま)(の)(焼)と分業してひとつひとつこなしていき、注意事項などをまとめた「復刻版のしおり」を作ったり、各種特典を制作したりして、今日(2月25日)ようやくすべての復刻本(と「しおり」)の印刷が終わって発送作業に入ったという連絡を受けました。納品段階ではそれぞれの号ごとにまとまったままなので、このあと倉庫で各号1冊ずつという荷姿にまとめ、特典も同梱して発送を行います。てなわけで、ご購入くださった皆様、今しばらくお待ちください。遅くとも10日以内にはお手元に届く、はずです。
てなわけで、X0周年シリーズはおしまい。40周年(去年)の思い出のはずなのに、最後が今年の話になってしまったのはご愛敬ということでひとつ。