どうも(ケ)です。
テーマを設けたクロスワードを作ることがあります。
例えばそうですね、今年の大河ドラマの主人公の「徳川家康」をテーマに、クロスワードを作ったとしましょう。家康クロスワードです。
盤面のヨコ1となる場所に、トクガワイエヤスと入れて。
オダノブナガとかヒデヨシとか、オカザキとかスンプとかエドとか、ミカタガハラとかセキガハラとかオオサカナツノジンとか、バクフとかシヨウグンとかタヌキオヤジとかテンプラとか、徳川家康の関連ワードをあちこちにたっぷり散りばめた盤面を作りあげた、としましょう。
そしたら今度はヒントを考えます。
ではヨコ1「トクガワイエヤス」のヒントをどうしましょう。
江戸に幕府を開いた人、にしようかな。
いや待て。エドもバクフも、盤面のここやあそこに入れている。
「トクガワイエヤス」のヒントの中で、「エド」や「バクフ」をすでに使ってると、解き手が「エド」や「バクフ」のヒントを読んで答えを考えるとき、それらの言葉の新鮮味が薄れないだろうか。
自分の記憶や知識の中から、ヒントに当てはまる答えを思いつく楽しさ、それもクロスワードの魅力の一つなんだから、その魅力を減らすようなことは避けたいなあ。
じゃあ江戸も幕府も使わずに家康の説明をしようかな。
あれ、でも、家康のイメージにつながる言葉の大半、盤面に組みこんじゃってるぞ。
あれあれ。もしかして、盤面に組みこんである言葉を使わずに、家康のヒントになる文章を考えるの、たいへんじゃないのかな。
いやむしろ、徳川家康を思い出させるには遠回りな、ピント外れのヒントしかつけられないじゃないか。
それに、盤面に組みこんだ家康関連ワードの数々に、「トクガワイエヤス」に触れないでヒントをつけることなんて、そもそも無理だろう。
これじゃ、家康クロスワードには、ちっともならないよ。
困ったこまった、どうすればいいの?
なーんてときに使えるテクニック。
それが「ヒント中での、ほかの単語の引用」なのです。
ニコリ出版物でよく使われるのが下図のような表記。
丸囲みの→や↓は、それぞれタテとヨコを意味します。その後ろの数字は、カギの番号。文章中には、そのカギに対応する答えの言葉が入るのです。
ニコリ出版物以外のクロスワードでも「ヨコ1」や「タテ2の答え」「ヨコの3番に入る言葉」などの言葉で、そこにはこの問題の、ほかの部分の答えになる言葉が入るのですよ、と示す場合があります。
これによって、ヒント中にそのものズバリの答えの言葉を出さなくても、その答えの言葉を用いた文章表現ができるようになります。
もちろんこの引用表現も、メリットばかりじゃありません。
まず注意しないといけないのは、その引用表現そのものがどういう意味なのか、解き手にちゃんと理解してもらうこと。
何の説明もなしに引用表現を使っても、その表現がなにをあらわしているのか、どういう意味だと読み解けばいいのか、解き手はちんぷんかんぷんです。それじゃ、解く楽しみを味わう以前の問題です。
だから、初めてその表現を見る人にも、「ああこの部分には、盤面の別の部分に入った言葉を当てはめて解けばいいんだね」と悟ってもらうための努力や技術が必要になります。それなしでは、空回りで独りよがりな表現手法にしかなりません。その危険性を常に自覚し自戒していなければならないのです。
また、引用ヒントをよく心得てる人相手でも、使い方や使いどころを間違えないように注意しないといけません。
例えば下の図のような例。作者は私(KGEC名義)。
この2つのヒントは相互参照で、しかもこの2つのヒント間で関係性が閉じています。このヒントから読み取れるのは、この2つの単語はそれぞれ逆さ言葉の関係にあるということだけ。それ以上の情報はありません。あとは、盤面の言葉の絡みだけをたよりに解いてください、という不親切なヒントなのです。
この2つのヒントが連続してるからまだしも、単に解き手の手間を増やしてるだけじゃねえかふざけるな、と作者(私です)に言いたくなります。もうちょっと頭を使って解き手に配慮しろよ、と作者(私です)に文句をつけたくもなります。
でも世の中にはこういうヤヤコシイのが好きな人もいるんだよ不思議だね、と過去の私が言ってるのが聞こえた気がしますが、いいから黙ってなさい。
ま、過去の私のことはともかく。
引用ヒントに限らず、ヒント表現を活かすには、作者の側もいろいろ考えないといけないな、と自戒をこめて書いておきましょう。
さてそんなこんなで今回の問題。
引用ヒントだらけのクロスワードです。
ヒント中の【 】で囲まれた部分には、そのヒントの答えの単語が、カタカナあるいはひらがなで入る、と考えてください。同音異義語を意図的に無頓着に使ってる部分がありますのでご注意を。
こんなにたくさん引用をしてると、引用の該当箇所をいちいち見にいく面倒くささが際立つ気がします。そんなものを読者のみなさんに解かせるんじゃないふざけるな、と作者(私です)をののしってみたり。
これにこりず次回もよろしく。