どうも(ケ)です。
今回は、クロスワードでの2文字の言葉についてあれこれと。

第5回でも書きましたが、英語クロスワードでは、アルファベット2文字の言葉を使わないのが一般的です。英単語には2文字の言葉が少ないのがその理由のようです。ざっと数えてみて、高校くらいまでで習う一般的な単語だとせいぜい2ケタでしょうか。略語やマイナーな単語を含めても、数百語のオーダーしかないようです。
それに対して、日本語では2文字言葉が豊富。仮名2文字でできる言葉、一般的な単語でも確実に千語は越えます。固有名詞や難しい言葉も含めれば、たぶん数千語にはなります。日本語は、アルファベットよりも文字種が多いのも関係しているのでしょうね。

この豊富な語数のおかげで、日本語のクロスワードでは、2文字言葉は大きな価値をもちます。
クロスワード盤面において、2文字言葉は、接着剤や結合組織のような印象。2文字言葉があるからこそ、長い言葉どうしがうまくつなぎ合わされるイメージなのです。

さて、短いわりに重要度は大きい2文字言葉、使用に際して気をつける点はいろいろあります。
例えば大きなサイズの盤面を作るときには、2文字言葉の重複使用や枯渇という問題が出来します。そこに気をつかいつつ作業を進めなければなりません。
私の場合ですが、大サイズの場合、最初に黒マスの配置をするところから2文字単語の数が増えすぎないようにいろいろ考えます。黒マス配置が決まったら、文字数ごとに使用単語数を調べておくこともします。2文字単語が多すぎるぞ、となったら黒マス配置の修正です。
言葉組みを始めたら、最後までなるべく中断せずに作業するようにしています。完成までに時間をおくと、最初のほうで使った言葉を忘れちゃったりするのです(ぽんこつな記憶力なのです)。それに備えて、使った2文字言葉のリストを作っておいたりもするんですが、あれこれ取捨選択してるとすぐに漏れがち。
言葉組みが終わり入っている単語のリストを作ったとき、重複単語がないとひとまずはほっとしますね。ま、2文字単語は重複してないのに、もっと長い単語が重複している、なんてマヌケなこともしばしばなのですが。
もっとマヌケな場合、7×7くらいのサイズの盤面なのに2文字言葉をダブらせちゃった、なんてこともありますが。もちろん盤面組み直しです。年に何回かはやらかすな、これ。

2文字言葉の注意点はほかにもあります。
その1つが、第22回でも触れた「2文字の袋」です。

「2文字の袋」とは、2文字単語のうち、1文字は袋小路状に黒マスで囲まれていて、もう1つの文字だけが他の単語と交差している状態を言います。つまりは他の言葉と50%だけ交差している状態です。
いまさらながら、クロスワードの特性として「交差し合う言葉のからみから解く」という点があります。2文字の袋は、そこにかかわる問題なのです。

たとえば2文字言葉で、交差から1文字目が「タ」と分かっている状態だとします。ヒントが「海に住んでいます」だったとして。ここに入りうる言葉、タイ(鯛)、タコ(蛸)、タラ(鱈)などいろいろ入れる言葉が考えられますよね。つまりこのヒントだけでは言葉を決められないので、もっと説明を加えねばならないわけです。
ところが往々にして、どう説明を加えても一つの答えにしぼりこめなかったり、あるいは解き手に正答を思いつかせられなかったり、なんてことが起こります。作り手も解き手も困っちゃうのです。
こんな具合に「2文字の袋」はやっかいものなので、なるべく避けて作るようにしているのでした。

2文字言葉、両方の文字が他と交差していれば万事OK、というわけでもないのです。
2文字言葉同士の交差が連続していると、「2文字の袋」と似たような状況になることがあります。「2文字言葉の連続」とは、例えば下図の左のような状態をさします。

ここで、図の右側、色つきの2マスに入る言葉が、ヒントからは正答が分からなかった場合。
そこに交差する言葉(枠で囲った2つの言葉)は、交差からは1文字しか分からない、「2文字の袋」と似た状態になります。
これを避けるには、ヒントに重々気をつけて、確実に言葉を決められるようにしないといけません。作り手の注意がいろいろ必要になる、やっかいな局面です。

さて、こんな2文字言葉ですが。
2文字言葉が豊かな日本語だからこそできる、日本語独特のクロスワードがあります。 それは2×2マスの、いわゆる「チビクロ」。「ミニクロ」と呼ぶこともあります。
黒マスはないので、黒マス配置に悩むこともありません。
小粒なわりに、おもしろい試みもいろいろできるパズルです。作り方によって簡単にも難しくもなります。

ということで、今回はそんなチビクロを2問どうぞ。

いかがだったでしょうか。
ではまた次回。