こんにちは、ニコリスタッフの(焼)です。
今回から新コーナー「謎解き、分類してみた。」が唐突に始まります!
ドンドンパフパフ!
月1回の更新を予定していますので、どうぞごひいきに。
ニコリ…?
さて、まず「ニコリって何? お値段以上の家具屋さん?」という方々に
簡単に自己紹介(という名の宣伝)をしておくと、
ニコリは40年ほど続く、パズル専門の出版社でして
謎解きの本「ニコリのエニグマ」シリーズや
謎解き風味のパズル本「パズルノート」シリーズなどを出しています。
また、3カ月に1回「パズル通信ニコリ」という雑誌を出していまして、
パズル(クロスワードや数独など)が数十種類載っているのですが、
こちらに謎解きの問題が載ることがあります。
問題の投稿も受け付けていますので、謎解き製作者の皆様は、
同誌の「投稿の手引き」をご確認のうえ、
ふるってご投稿をお願いします!
(掲載された場合、薄謝および掲載誌を進呈いたします)
このコーナーは…?
ダイレクトな宣伝をしたところで、本題に入りますと、このコーナーでは、多種多様な謎解きを筆者なりの方法で分類していきます。
基本的には分類して楽しむだけのコーナーですが、そのなかで謎解きの作り方や解き方について、新たな発見があるやもしれません。…あったらいいなあ。
謎解きとは…?
では、謎解きの分類を始める前にこのコーナーにおける「謎解き」を定義しておきましょう。
定義と言うと堅苦しい雰囲気ですが、すごくシンプルです。
謎があり、それが解けるもの
突然登場したキャラクター謎男(なぞお)くんの言うとおりそのままなのですが、これくらい広い定義のほうがいいのではないかと考えています。
そもそも「謎解き」は遊びとしてブームになる以前から使われていた広い意味の言葉ですし、パズル・なぞなぞ・クイズ・ミステリーなど、近しい分野と相互に影響しあいながら今も進化を続けていますからね!
これくらいゆるい定義のほうが謎解きの可能性をいろいろ探れるのではないか、と思います。
けっして、いい定義が思い浮かばなかったわけではないのです。
それはもう、けっして。
謎解きの分類…?
謎解きの分類、と一口に言ってはみたものの、分類の仕方はいろいろあります。
たとえば、
・形式による分類(リアル、持ち帰り、書籍、Webなど)
・対象者による分類(対象年齢、人数、使用言語など)
・規模・構造による分類(一枚謎、実写謎、小謎と大謎など)
などが考えられたりします。
ただ、このコーナーでは上記のような分類はメインでは扱いません。
このコーナーでは主に、解き方による分類を考えていきます。
「謎をどのように解くか」によって問題をわけていこうということなのですが、
具体的には以下の4つに分類します。
謎に何かを足すことで解く。
・マイナス
謎から何かを引くことで解く。
・空間的な操作
謎を空間的に操作して解く。
・時間(論理)的な操作
謎を時間(論理)的に操作して解く。
謎解き問題はこの4つに集約できるのでは…と(現時点では)考えています。
これだけでは説明不足だと思うのでどのような分類か、謎解きの例題を交えつつ少しだけ見ていきましょう。
プラス…?
まずは問題をひとつ。
ヒントはこちら
たとえば1番上の横列に「ハン□ーガー」とありますが、
□に「バ」を入れると「ハンバーガー」という言葉になりますね。
この要領で、他の3つの□にも文字を入れて、上から順番に読んでみると…。
答えはこちら
この問題のように、何かをプラスすることで解ける問題を「プラス」の謎解きに分類します。
「プラス」はさらに、「補填」と「合成」にわけることができると考えています。
次に、それぞれの問題を見てみましょう。
補填…?
「補填」は、問題に何かが不足していて、それを補うことで解ける問題のタイプのことです。
先ほどの謎1ー1は、この「補填」タイプの問題ですね。
解いてみた方は単語を成立させるために文字を補填して、答えを導いたはずです。
逆に製作者の立場で言うと、「補填」タイプの問題を作りたい場合は、元となるものから何かを不足させることで謎が作れそうですね。
ただ、あまりに不足させすぎると、解けなかったり、答えが複数になったりしてしまいます。
たとえば、
という問題だけだと、「もしや、お値段以上で有名な家具屋さん…?」
と思うかもしれません。
なので、少しヒントを足してみます。
ヒントはこちら
答えはこちら
本を売っていたりする、「ニ」で始まって「リ」で終わる3文字の会社といえば、やっぱりニコリですよね!
…お値段以上の家具屋さんも経営学の本を出していると思いますが、そこは目をつぶってほしい。
これで答えは1つになったのではないでしょうか。
(他にもあったらごめんなさい)
謎解きというよりはクイズに近い問題でしたが、
とにもかくにも「補填」タイプの問題のイメージが
つかんでいただければ幸いです。
もう1問出して、「補填」タイプの話はおしまいです。
ヒントはこちら
カタカナのような形になりませんか?
答えはこちら
合成…?
次は「合成」の問題です。
「補填」との違いは、何も不足していない、という点です。
謎を解くために必要な材料はすべて揃っているので、それをどのように合成するのか、というところでひらめきや工夫が求められます。
さっそく例題を見てみましょう。
謎1-4
【謎1-2】で使った紙を裏返してみると、こんなものが書いてあった。
ヒントはこちら
最後の一文「本 を売っていたりする」の「本」と「を」の間に隙間が空いていますね。
問題が書かれた紙を光にかざすと、この隙間に【謎1-4】に書かれているものが入るのではないでしょうか…。
答えはこちら
このように、問題のなかにすでに提示されているものを
組み合わせて答えを導き出すのが「合成」タイプの問題です。
マイナス…?
次に説明するのが、「マイナス」の謎解きです。
「プラス」の場合とは逆に、何かを「マイナス」(引く)することで解くことができる問題です。
「マイナス」の謎解きも2つに分けることができて、それぞれ「削除」タイプ、「抽出」タイプと筆者は呼んでいます。
ではまた、実際の問題を見てみましょう。
削除…?
「削除」タイプの問題は、何をマイナスするかということを指定されているタイプの問題です。
早速例題を見てみましょう。
謎1-5
ヒント1はこちら
「タヌキ」というと「タ抜き」を思い浮かべませんか?
ヒント2はこちら
「A←B」というのが「Aからタヌキする(「タ」を抜く)」、という意味だとすると、残るのは「方」の字ですね。
…しかし、「方」の2つ上の字は他の「タ」とは少し形が違いますね。
もしかしたらこれは、カナの「タ」ではないのかもしれません。
カナの「タ」に似た字といえば…。
答えはこちら
Bのタヌキの絵は、「タを抜く(削除する)」という指示を表しています。
まず「A←B」というヒントをもとに、Aの表の中から、カナの「タ」を削除します。
残るのは「方」だけのようにも見えますが、よく見ると、方の2つ上の文字の形が他の「タ」とは異なります。
このことからこれが「夕焼け」や「夕食」などの「夕」という漢字であると考えられ、残る言葉は「夕方」です。
次に「C←B」というヒントから、「カタナ」から「タ」を削除すると、「カナ」になります。
ここまでを続けて読むと「夕方をカナにする」となります。
指示通りにすると「ユウガタ」。
さらに右に「←B」があるので、「ユウガタ」からも「タ」を消して、答えは「ユウガ」になります。
この問題のように、引くべきものが指定されていて、それを引くと謎が解けるのが「削除」タイプです。
「引くべきものが何なのか」「それをどうやって引くのか」などを考えるのがこのタイプの謎を解くときのポイントかな、と思います。
抽出…?
次に「抽出」タイプの謎について見てみましょう。
「抽出」タイプは「削除」タイプとは逆に、何を残すか(抽出するか)ということに重点が置かれます。
言い換えれば、残すもの以外はすべて削除するわけです。
ということで、実際の問題を見てみましょう。
ヒントはこちら
矢印が2つしかない?
いえいえ、問題文中に1つ、謎男くんのセリフ中に1つ、矢印がありますよ。
答えはこちら
この問題のように、答えとして残すものを何らかの方法で指定するような問題を「抽出」タイプに分類しています。
空間的な操作…?
次にご紹介したいのが、空間的な操作で解ける謎です。
「移動」「交換」の2タイプに分けられます。
どちらのタイプの謎解きもかなりのバリエーションが存在しますよ。
移動…?
「移動」タイプの問題は、提示された謎を移動させると解ける謎です。
言っていることがそのままなので、もう少し具体的に言うと、
・上下左右に動かしたり
・回転したり
・色や形を反転したり
・裏返したり
・折ったり曲げたり
・閉じたり開いたり
・押したり引いたり
・拡大したり縮小したり
・たどったり
・振ったり割ったり落としたり
・動かしたり止めたり
などなど…をする謎のことです。
ではまた「移動」タイプの問題を見てみましょう。
(難しいかも…)
ヒント1はこちら
ヒント2はこちら
答えはこちら
ということで、すこし難しい問題でした。
移動の仕方はたくさんあるので、「移動」タイプの問題もいろいろと種類がありそうですね。
交換…?
お次は「交換」タイプの謎解きについて考えます。
簡単に言うと、2つのものを交換することで解ける謎です。
では例のごとく、例題を見てみましょう。
謎1-8
(知識が必要な謎ですが、知らなくても調べれば解けるはず…?)
ヒントはこちら
日常生活のなかできっと見たことがあるはずです。
また、丸・四角・五角形は、それぞれAから順番に読むとなにか言葉になるようです。
「なら」から考えるとわかりやすいかもしれません。
答えはこちら
ということで、「交換」の問題でした。
交換する2つのものの間に何らかの関連があれば(もしくは関連を作ってしまえば)、謎解きの問題が作れるのでかなりのバリエーションが考えられそうです。
時間(論理)的な操作…?
さて、時間・論理的な操作について見ていきましょう。
「時間的な操作」と「論理的な操作」にわけてそれぞれ説明していきます。
(「時間的な操作」と「論理的な操作」を最初からわけて、大分類を5つにしようともしましたが、なんとなく収まりがいいのでひとつにまとめています。あとでわけるかもしれません)
時間的な操作…?
困ったことがあったときに「時間が解決してくれる」と言ったりしますが、謎解きも時間が解決してくれることがあります。
時は金なり、ということで早速例題を見てみましょう。
ヒントはこちら
(gif画像になっていて、クリックしたあと待っていると動きます。gif画像に対応していないブラウザの場合、申し訳ありませんが動きません)
答えはこちら
最初は「ほしぼしの サイン 待って」という文が書かれています。
その指示に従って、しばらく待っていると文字が動き出し、「ししざ」という文字が一瞬浮かび上がります。
しかし、「ししざ」は下に書かれた「答えは4文字」という条件と合致しません。
また問題文が「流れぼしの サイン 待って」と変わっているので、流れ星を待つと左上から降ってきて、「ー(長音)」を置いていきます。改めて読むと「しーさー」という4文字の言葉ができるので、それが答え。
謎1-9は、実際の時間が関わってくる謎でした。
一方で、擬似的に時間を進めたり戻したりすることで解ける謎もあります。
ひとつ、例題を見てみましょう。
ヒントはこちら
これらの十二支を1年前に戻すと…。
答えはこちら
「ときを1年前に戻そう」という文から、十二支(「たつ」「うま」「とら」)を1年前(ひとつ前)に戻すと、「う」「み」「うし」になる。これらを足すと「うみうし」になるので、それが答え。
このように時間が関わってくるタイプの謎解きでした。
ストーリー風の謎解きですと、タイムマシンが出てきたり、過去の記憶が謎に関わってきたりもしますが、それもこのタイプに分類できるかもしれません。
論理的な操作…?
最後に論理的な操作をすることで解ける謎です。
いくつかの事実を論理的に結びつけることで答えを導く問題です。
例題を見てみましょう。
ヒントはこちら
そこでもう一度、問題文を見てみましょう。
「登場人物3名の証言をもとに…」と書いてありますが…。
答えはこちら
まず、Aさん、Bさん、ライオンの証言からお酒を飲んだ人を考える。
Aさんの発言が嘘だとすると、Bさんも嘘をついていることになるが、
嘘つきは1人なので矛盾する。
よって、Aさんの正直者で、Bさんも正直者になる。
さらにBさんの発言からライオンもお酒を飲んでおらず、正直になる。
しかしこれでは、全員が正直者になってしまい、問題文と矛盾するように見える。
そこでもう一度、問題文を見返してみると「登場人物3名の証言をもとに…」とある。
ライオンは人物ではない。この問題にもう一人いる登場人物といえば謎男である。
Aさん、Bさん、謎男の3名の証言をもとに再び、お酒を飲んだ人を考えると、
さきほどと同じ理由でAさんとBさんは正直者なので、残る謎男がお酒を飲んだことになる。
ということで「論理的な操作」の問題でした。
今回は少し変化球の問題でしたが、もっとストレートに論理的な問題が出ることも多いですね。
まとめと次回予告…?
ということで、「謎解き、分類してみた。」第1回お楽しみいただけたでしょうか。
駆け足ぎみではありましたが、4つの分類について見ていきました。
次回以降は、それぞれの分類をもう少し掘り下げていきたいなあ、と遠い目をしながら思っています。
(今回は初回ということもあって長文でしたが、次回はもう少し短くなる予定)
今回の分類を見て
「オレのほうが面白い謎作れるぜ!」
「アタイ、面白い謎思いついちゃった!」
「おいどん、謎作りたくなったでごわす!」
「わらわ、謎を出題してもよろしくてよ!」
となったかたがたは、「パズル通信ニコリ」に投稿してみてくださいね!
おまけ謎
「11の1」「6の2」「9の4」「7の1」の
「8の2」「1の3」「4の2」「2の1」の
「3の1」「5の1」「10の3」に
薄く書かれている11文字のメッセージは何でしょう?
(答えは次回掲載予定)