今週の雑記係(焼)です。
2020年上半期マイベスト食べ物ランキング
堂々の1位はフライドポテトです。
(前回までのあらすじ)
知り合いの知り合いの屋敷にあがりこみ、フライドポテトをむさぼり食う密男。
しかし、外には因縁の敵、ライオンがいるようだ。
どうやらこのライオンは「肉」という字を見ると、襲ってくるようだが…。
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「ぴえぇぇぇん、もう絶対に外に出ないぞ!
この家をついのすみかにしてやる~」
密男の声が屋敷のなかに響き渡る。
「ついのすみかにされるのは困るが、
確かにライオンがうろついている間は
外に出るのは危険だろう…。
今日はうちに泊まっていきなさい」
ぐずる密男をあやすように、屋敷の主人オサオが提案した。
「ヤキコさんもそうするかい?」
オサオは、ヤキコのほうを向いて言った。
「ではお言葉に甘えさせていただきます…。
そういえば、ナジオさんはライオンのこと
知っているのかしら?」
「ナジオさん…って誰ですか?」
密男が尋ねた。
オサオは窓の外を眺めながら答える。
「ああ、私のいとこだよ。
ここから見える離れに住んでいるのだが、
偏屈な男でなかなか人前に出てこないんだ。
幼馴染みのヤキコさんも来ているというのに…」
「では、私が内線でナジオさんにライオンのこと伝えておきますね」
「おお、ありがとうヤキコさん。では私は客室の掃除でもしてこようかな。
密男くんはゆっくりフライドポテトでも食べていてください」
密男は言われる前からフライドポテトを食べていた。
まるで「その仕事なら言われると思ってあらかじめ
やっておきました」という感じのドヤ顔である。
「もしもし、ヤキコよ。テレビ見た?」
「うん、見たよ。まったくおそろしいね…」
ヤキコがスピーカーホンのボタンを押していたらしく、
密男にもナジオの声が聞こえてきた。
「ちゃんと鍵はかけたの?」
「ああ、バッチリだよ」
「じゃあよかったわ…」
そのあと、ヤキコとナジオはとりとめのない話をして電話を切った。
「さきほど『偏屈な男』と言われていた割に、
ナジオさんの話し方は気さくだな」と密男は思った。
オサオが戻ってきたあと、しばらく3人は談笑して、
夜の11時にはそれぞれの部屋に戻っていった。
~2階 客室(密男の部屋)~
「…う~ん、スマホの電波もWifiも飛んでないから、
スマニヤリができないや…寝るか」
このとき、密男はまだ気づいていなかった…。
このあと巻き起こる「惨劇」という名の鋭い牙が
彼の喉元にまで迫っていることに…。
~翌日~
「きゃああああああああああ」
フライドポテトを食べる夢を見ていた密男は、
突然の悲鳴に飛び起きた。
急いで階下に降りると、ヤキコとオサオが窓際に立っていた。
「あ、あそこに…」
そう言って、ヤキコが指さす先にはヤツがいた…。
密男の宿敵、ライオンである…。
ライオンは離れの窓にむかって盛んにタックルをしている。
さらに、視力3.0を誇る密男はあることに気付いた…。
「離れにいる男性のひたいに…」
「『肉』の字が書かれている!!」
「そんな! ナジオさんが…!!」
昨日のニュースで言っていた
「ライオンは『肉』と書かれているものを破壊している」
というのが事実なら、ナジオの身が危ない。