文章・座談まとめ人:(塚)
毎回、あるパズルを選んで、編集部の視点からいろいろな話をしてみよう、という「パズル座談会」のコーナーです。今回のパズルは「波及効果」。現在の本誌では2~3号に1回程度掲載されていますが、11月10日発売の『ニコリのペンパ2019』では4年ぶりにラインナップに復活し、たくさんの問題が掲載されていますよ。
塚:「波及効果」がはじめて掲載されたのはニコリ73号で、原作者はゲサクさん。その次に載ったのは79号、さらにその次は83号だそうです。
溝:投稿が少なかったんだ。作るのが難しいんだよなあ。
く:あと、この頃は月刊だったしね。
溝:月刊だから、そもそも2~3号はあくことにはなっていたんですけどね。
焼:『オモロパズル大全集』には、「89号で昇格して95号まで掲載した後、いったん消滅して97号で復活」って書いてあります。
溝:たしか、ハガキで要望が来たんですよ。
も:「やめないで」の声が多かったって書いてあったと思います。
将:しかも、復活のときにまたオモロパズルのコーナー内に戻っているんですよ。
塚:97号では「新波及効果」というのも載っています。
溝:で、次の98号からは1ページで載っている。これだけ波瀾万丈なのも珍しいなあ。
塚:その後、中サイズ(17×17)の問題が初めて載ったのが107号です。
竹:けっこう遅いね。
も:解くときは時間がかかるんですよね。数独系ですよね。単行本の編集のときはかなり大変だった気がする。
溝:たしかに、面積あたりのかかる時間ではすごい上位にくる。
く:まあ、そこが楽しいんだけどね。
竹:数独系だけど、数独よりは進むんだよね、じりじりと。本当に行き詰まって進めない問題ってあんまりない気がする。
も:どの辺から解けるかっていうのは、なんとなく目星はつく。
竹:基本は数字が近いところからだからね。離れたところは、よっぽどのことにならないと考えない。でもnikoli.comの第二駐輪場さんなんかは、逆に大きい数字を使ってくるんですよね。
も:でも、いきなりわかりにくいところから入るようなのは、ボツにしますかね。
溝:あとは、7マスの部屋が1つだけしかなくて、他が全部5マス以下の部屋で6と7の決めようがないから7を表出数字にするみたいなのも、ずるいかなとは思います。
塚:表出数字が対称配置の問題を作る人は、明かす場所は最初に全部決めるんですかね?
竹:最初にある程度決めて、後で微調整っていう感じかな。でも表出数字が少ない対称配置の問題だと、後から対称配置にしたものもあるかもしれない。
将:あと表出数字については、やたら難しい問題をやさしくするために増やすことはあると思います。
も:どこを表出数字にするかによって、解き味とかも調整できますよね。
竹:正解の盤面をつくるまでがすごく大変で、あとの調整はけっこう融通がきくっていうパズルではあるよね。そのあたりは、他のパズルと違うかもしれない。
も:そういう意味では、作る人の親切心とかが出るなって思います。
竹:ぱっと見て、やさしい問題かどうかわかりにくいよね。
溝:1マスとか2マスの部屋がたくさんあるときは、やさしく感じられる。
く:実際、1と2までは数字がわりとすぐ入るしね。
塚:数独と近いパズルのような言い回しをよく見るので、数独好きな人にはおすすめできますかね?
も:私はいいと思いますよ。
焼:数独より勝っているところって何でしょうね?
将:数字が数としての意味を持っているところとかですかね。
く:たしかに、数独は他の記号とかにも置き換えられちゃう。
竹:数えることが多いから、脳トレにもなるかも。
く:あと、いったんハマってくれると結構夢中になってくれるパズルだとは思うんだけど、ちょっと敷居は高いのかな?
竹:ニコリのパズルの中では、そこまでではないんじゃないかな。
溝:でも、ルール文の3番が長いんだよね。
竹:覚えることは少ないと思うんだけどね。ただ、実際にやってみて見落としで解けないっていうことは多いかなと。
く:注意力はすごく必要だと思う。
塚:ちなみに、使われる数字って1桁だけなんですかね?2桁の数字が使われているのを見たことがないような…。
く:作ろうと思えば作れると思うけど。
溝:ペンパ本を見ても見当たらないし、ペンパ本になるころにはもう制限をつけていたかもしれないです。
く:今後、もしスーパージャイアントとかが載るとしたら、2ケタの可能性はあるよね。
竹:ただ、数字を大きくして面白いかといわれると…。
も:さっきの理論でいえば、10を入れるってことは、他に9の部屋も入れないといけないってことですよね。
竹:入れるなら2、3カ所は欲しいですよね。
も:最初にそれをやろうと狙わないと、なかなかできないですよね。
く:パターンの1つとしては、真ん中にどーんと10マス以上の部屋があって表出数字が結構入っていて、そこの隙間の数字から推理させていくような、そういう凝ったしかけとか。
竹:まあ、いろいろ可能性はありますよね。
塚:投稿は多いほうなんですか?
溝:あまり載っていないわりには、多いほうだと思います。
将:決まった人から毎回送られてくる印象です。
く:好きな人は作り続けているのかな。
竹:他に似たパズルがないから、こういうのを作りたい人は波及効果を作るんじゃないかな。
も:独特な存在感をもったパズル、ということですね。
将:気になる方はぜひ『二コリのペンパ2019』を買ってくださいね。