どうも(ケ)です。
今回は、まず問題をどうぞ。
今から十年前、『パズル通信ニコリ』154号に掲載された「ウソだらけのクロスワード」です。
このクロスワード、特集「ウソ」のときに作ったもの。すべてのヒントがウソ、でたらめというクロスワードは面白いんじゃないの、という趣旨でした。
ただ掲載時には、編集長から「本当のヒントもつけなきゃダメ」と言われました。それがなきゃ解けないという理由。
作者としては、ウソとすぐにわかるウソばかりだし、逆にそのウソ単体で、何についてのウソなのかわかるようにしたつもり。だからウソのヒントだけでも、ヒントとして成立しているという意図なんですが、そこは説明してもあまりわかってもらえませんでした。「ウソのヒント」というのが「誤りを含んだヒント」という具合に理解されてたのかなあ、とのちに考えたものです。
さて話は変わって。
前回、未来のクロスワードの話をしました。
それを書いているとき、人工知能(AI)の話もしなくちゃいけないだろうなあ、と思ったのです。今回はその積み残し。
最近Googleで検索をすると、AIによる回答がトップに出てきたりします。
あれが邪魔っけだ、と思う方も少なくないんじゃないでしょうか。私は邪魔です。しばしば間違った回答をするし。
例えば、下に挙げたスクリーンショット。
ある日に「日本語クロスワードで盤面の隅に黒マスを配置しても良いですか」と聞いてみた結果です。

そしたら答えは「ダメ」。なんでも、パズル誌ニコリなどの伝統的なルールでは、避ける慣例があるんですって。へえ。
もちろん、『パズル通信ニコリ』およびニコリ出版物では、盤面の角に黒マスを配置することを、昔っから禁止なんてしていませんので、念のため。
しかも、質問文を少しいじるだけで、AIの言うことが変わるんですよね。「良い」を「よい」に変えるだけで答えも変わる。質問する日によっても答えが変わる。
同じ意味の質問に、正反対の答えを返してくるようでは、信用しにくいですよねえ。

いまのAI、いろいろな情報を継ぎ合わせて、もっともらしい回答を作り出す、というものらしくて(詳しいところは知りませんスミマセン)、まだまだ発展途上ということですね。
先日行われた大学入学共通テストをAIに解かせたら、9科目で満点だった(最低点の国語でも得点率90%)というニュースもありましたから、今後どんどん優秀になっていくのかな。
AIとクロスワードが、今後どういう関わりになるかを考えてみると。
「AIがクロスワードを解く」「AIがクロスワードを作る」その2種類が考えられます。
「AIが解く」のは、けっこう早くに実現するんじゃないかな、という気がします。さっきの変な回答も、情報をある程度わかっているからこそする、ちょっと見当外れの回答です。
開発がもっと進めば、カギを読み、ボキャブラリーから入れられる言葉の候補を絞りこむのも可能になるでしょう。そして、交差する単語から正解の単語を決定する、まで行くのは想像に難くありません。
もっとも、パズルを解きたいのは人間なので、AIにわざわざ解いてもらわなくてもよいのです。AIは人間がやりたがらないことを請け負ってください。
「AIが作る」ほうはどうでしょうね。
盤面を作るのは、言葉の選択と、盤面上での組み合わせを延々続ければいいので、AIには得意技なんじゃないでしょうか。
そして盤面ができあがれば、それぞれの単語にヒントを付けるのも、可能じゃないかという気がします。単語と関連度の高い情報をネットから集めてきて、組み合わせて説明文(らしきもの)を作ること、まさに検索でAIがやってることなんですから。
ただ、そこで作ったヒントが、本当に正しい内容なのか、ヒントとして通用するのかは現在のところまだまだマユツバです。上で示した例のように、もっともらしいけど間違ってるヒントの可能性はあるでしょうしね。
最初に出題した「ウソ」クロスワード、あの問題を、AIは解けるようになるのでしょうか。
先ほども書いたとおり、普通のクロスワードなら可能かもしれません。
でも、AIの回答、きちんと文意を理解しているわけではなく、関係性の高い情報から類推して答えているんですよね。
質問の表記を少し変えただけで、正反対の答えを返しかねない、それが現在のAIの状況です。
そういうものが、ウソだらけのヒントに、ちゃんと答えられるでしょうか。人間なら「これは意図してウソを書いているな」とすぐわかるような文章でも、マジメにまともに捉えて、このヒントに対応する言葉はない、と「正しく」答えてくるんじゃないでしょうか。
さらに「ウソ」クロスワードをAIが作れるかというと。
これもまだまだ難しそう。試しにAIに「ウソをついてみて」と頼んだら、けっこうおもしろい文章を返してきましたが、まだちょっと固くて、ぎこちない感じ。
ウソって「真実じゃない文」とは異なるのですよね。ウソは、意図的に真実から離れていく文章で、間違ってる文章じゃないのです。そのへんのサジ加減がAIにはまだできないのかな。
でも、いまのAIに無理だからといって、未来のAIがどうなるかは分かりません。もしかしたら、今年が終わるころには、もう状況がガラリと変わっちゃってるかもしれません。
気付いたらAIに追い抜かされてしまっていた、そんなことにならないように、がんばっていかなくては。

さてさて話はまた変わって。
この「クロスワードのいろいろ話」、気付けばもう5年近く連載しています。60回目もまもなくです。
きりがよいので、60回をもって、連載を終了する予定です。
あと2回、よろしくお付き合いください。ではまた次回。
(次回は2026/2/25更新予定です)
