キンモクセイが好きな(く)です。
今年はやっぱり遅かったですねえ。

毎年、道を歩いていてふわっと香ってくると、秋が来たなあと思います。
ホンモノをあまり知らないうちに芳香剤などで覚えてしまった人が、「トイレの香り」などと言っているのを聞くことがありますが、失礼千万な話です。

しかし、そんな大好きなキンモクセイにも、文字通り苦い思い出があります。

実物の花を手に取ったことはありますか?
小さくてきれいなオレンジ色で、くっついた4つの花びらはふっくら肉厚で作り物のよう。
たまに高級な喫茶店などで紅茶に添えられた角砂糖に、お花の砂糖菓子がくっついているものがありますよね。
まさに、そんな感じなのですよ。

そして、いただき物でそんな角砂糖の存在を知っていた幼い私が、こう思っても仕方ないですよね。
こんな良い香りでかわいらしいものは、きっと甘いに違いない。

ぱくっ。

いや、美味しいわけがありません。
子どもの口にはそうとう苦かった記憶があります。
ひとりでこっそり、ではなく、家族の前でさもすごい発見のように食べて見せた気がするのですが、その時の親の反応は覚えていません。
笑ってたのかあきれてたのか…。

今まさに、そんなキンモクセイが咲いています。
このあたりはそんなに多くないので、とても奥ゆかしく香ってきます。
鼻から思いっきり香りを吸い込むと、たまにギンナンの存在が混じってきます。
そっちは美味しいんだけどねえ。