カックロ好き、スリザーリンク好きの皆様、ようこそお越しくださいました。ニコリスタッフの(や)です。
2025年7月10日に発行した『厳選ニコリのジャイアント〈カックロ&スリザーリンク編〉』は、すでにお手に取っていただけたでしょうか?
目の覚めるような黄色い表紙が目印の本書。1ページ大の大きめなカックロ35問とスリザーリンク35問をどどんと掲載しています。今回は、本書で編集を担当したスタッフ2名(塚)と(将)に、パズル編集の裏側から歴史まで、その魅力を語り尽くしてもらいました。それでは早速どうぞ!
カックロ編集担当(塚)
今回の本に載っているのは、『パズル通信ニコリ』から選んだ大きめサイズ(1ページ大)のカックロなのですが、全体的にはわりと解きやすめのものが多いのではないかと思います(あくまでも「ジャイアントにしては」という意味ですが…)。
1980~90年代の『パズル通信ニコリ』には今よりももっと難しいカックロ・ザ・ジャイアントが毎号のように載っていて、今回の編集作業ではそれらも一通り手をつけてみたのですが、難しさの方向性が今のカックロとはだいぶ違うのですね。一方、2000年代に入るとその方向性がガラっと変わり、最近の出版物に載るような問題と近いものになりました。おそらくこの頃に、当時の編集者の方針が大きく変わり、それが最近のカックロにまで受け継がれてきたのだろうなあ…ということを感じ取りました。そんなわけで今回の本では、今の基準でも無理なく解けて「面白い!」と思えるような、2000年代以降のカックロ・ザ・ジャイアントが集まっています。
ちなみに、2000年代に発行されていた、さまざまな数字パズルを集めた本『ペンパMIX』シリーズからも何問か再録しています。『ペンパMIX』シリーズが発行されていた頃、私はまだ一読者で、もちろんこのシリーズも全巻買いましたが、この時期はまだカックロがあまり得意ではなかったので当時は解いていなかったかもしれません。
このサイズのカックロがこれだけまとめて解ける本というのは、実はけっこう珍しいです。毎年発行している『パズル・ザ・ジャイアント』では、パズルの種類が増えてきたこともあって現在は毎号7問。2021年にはA4サイズの『まんぞくカックロ』という単行本を出しましたが、この本でさえも20問でした。1冊に30問以上のカックロ・ザ・ジャイアントが載るのは、もしかしたら初めてかも? 心ゆくまでお楽しみいただければ幸いです。
スリザーリンク編集担当(将)
本書には、1993年から2020年までの『パズル通信ニコリ』(以下「ニコリ本誌」)に掲載された1ページ大(ジャイアントサイズ)のスリザーリンクから35問を選んで再録しています。問題選出にあたり、過去にニコリ本誌に掲載された「ジャイアント」を全部解いたのですが、それぞれの時代に作風の流行のようなものがあり興味深かったです。
大まかな出題傾向を年表にすると、以下のような感じです。
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・1992年ごろ…ニコリ本誌にジャイアントサイズのスリザーリンクが出題され始めた。成長途中といった感じで、比較的単純な考え方で終盤まで進む問題が多い。また、現在では作り手側のルールでNGとしている「タテヨコナナメに0が連続している問題」が掲載されていたりする(本書では未収録)。
・1993年~2000年ごろ…難しめの問題が一気に増える。少し先を読ませる、一手一手が重たい趣向の問題が主流。
・2001年~2007年ごろ…先読みっぽさが少なく、それでいて難しめの理詰めでスマートに解ける問題が掲載されるようになる。
・2008年~2014年ごろ…やさしめで、スピード感重視の問題が主流になる(難しめの問題はニコリ本誌ではなく、当時発行されていたニコリ別冊『ペンパMIX』や『ニコリのペンパ』シリーズでおもに掲載されていた、という事情もある)。
・2015年~2020年ごろ…基本的には一手一手が軽めであるものの、局所局所で難しい考えを使って突破する、といった問題が増えている。2025年現在の傾向に、だいぶ近い。
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ニコリ誌上に掲載された時点でどの問題も面白さの水準は満たしているのですが、今回の再録にあたっては、「今の感覚で最後まで解いて無理がないか」という点を重要視しました。そのため前述の1993年~2000年ごろの問題は、先を読ませる問題が好きな解き手もいらっしゃるかとは思いますが残念ながら大半を選外としました。今回収録した1990年代のスリザーリンクは35問中5問で、現代のスリザーリンクと比較してやや重めではあるものの解き味に光るものを感じられます。
本書の掲載順は「やさしい順」としていますが、それぞれの問題の初出も記載していますので、「初出が古い(新しい)順」に解いてみる、という楽しみ方もできますよ。大満足の「スリリンタイム」を約束いたします。
以上、編集担当2名による夏の暑さにも負けぬ熱い解説でした。
大きなカックロ・スリザーリンクをたくさん解きたいあなたも、作風の変遷や時代の流れを感じながら楽しみたいあなたも、大満足の1冊に仕上がっています。
ぜひ、全国の書店やオンラインショップ等でお求めてください!