どうも(ケ)です。
今回はまず、漢字クロスワードをどうぞ。
入力する漢字は、旧字体だと正解と判定されませんので、新字体でお願いします。
漢字を使ったパズルは、どれも一定の人気を持っていますが、漢字クロスワードもその例に漏れません。クロスワードというよく知られたパズルと、漢字好きの人の需要が、いい感じに融合していると思います。
日本初のクロスワード本、本山桂川・著『クロス・ワードの考え方と作り方』(崇文堂書店)。大正14年、日本にクロスワードが紹介されてブームとなったときに出版された、クロスワード解説本です。この本にはすでに漢字クロスワードの例が掲載されています。漢字クロスワード、人気だけじゃなく歴史もあるのですね。
くわしくは国会図書館のデジタルコレクション(https://dl.ndl.go.jp/pid/1018759/1/24)をご参照ください。リンクは『クロス・ワードの考え方と作り方』の漢字クロスワードのページですが、このページだけじゃなく、1冊まるごと全文を読めますよ。国会図書館エライ。
さて、漢字クロスワード、解く上では仮名のクロスワードとそんなに差はないのですが。実は作るほうでは、仮名のクロスワードとはまた異なった大変さがあるのです。
いちばん大きな問題は、盤面を作りあげにくいこと。具体的には、言葉を交差させにくいのです。
ふつうの仮名のクロスワードの感覚で黒マスを配置しても、そうそう組みあげることができません。2×2マスの白マスの固まりを埋めるだけで、あれこれ悩まされることが多いのです。
これ、もしかしたら英語クロスワードと仮名クロスワードの関係に似ているのかも知れません。
アルファベット26文字を用いる英語クロスワードは、数十種類の仮名を用いるクロスワードに比べると、ずっと大きな白マスの固まりを作ることができます。
おそらくは、母音と子音が分かれているアルファベットと、1文字で母音・子音を含む仮名、その違いによるものだと思います。文字の並びのパターン、組み合わせの自由度が、アルファベットのほうが高いんじゃないでしょうか。
文字の種類が多くなるにつれて、言葉を絡ませにくくなり、盤面を成立させにくくなってくるんじゃないかな、となんとなく感覚的に考えております。そして漢字となると、そこに「文字の意味」も加わるせいか、配列の成立するパターンがさらに減ってきます。
というしだいで漢字クロスワードは、文字をたくさん絡ませる黒マス配置では作りにくいのです。ですから自然と、黒マスの斜めつながりや、対面ふさがり、袋小路になっている黒マス配置を多くしていくことになります。
仮名のクロスワードではなるべく避けるようにしている、2文字単語の1文字しか交差させない黒マス配置も、漢字クロスワードではよく使います。
「2文字単語の1文字しか交差させない黒マス配置」、1文字が袋小路に入ったようなので「2文字の袋」なんて呼び方もしますが、この「2文字の袋」はいろいろと気遣いしないといけない、やっかいものになることがあります。具体的にどうやっかいなのかの解説はまた別の機会に。
今回の問題でも「2文字の袋」はそこここで使わざるを得ませんでした。漢字クロスワードの宿命ですねえ。
さらに、漢字クロスワードでは「字数が多い言葉は入れにくい」のも特徴の一つですね。あたりまえですが、漢字クロスワードに入れるのは、漢字だけで作られた熟語です。熟語って、5文字6文字くらいで、長めの部類に入るんですよねえ。それもあって黒マスの数がやはり多くなりがち。
漢字クロスワード、盤面を作るのに苦労が多いのですが、ヒントをつける局面では仮名のクロスワードと大差ありません。まあ、「2文字の袋」に代表される、絡みの少ない言葉のヒントをつけるときには少しばかり気遣いが必要になるのですが。
漢字クロスワードならではのヒント、というと、今回の問題のヨコ15のカギは、漢字クロスワードじゃないと成立しないタイプのカギじゃないかな、と思います。これができたので今回はひとまず納得です。
とにもかくにも、e-クロスワードによる漢字クロスワード、お楽しみいただけたなら無上のよろこび。ではまた次回。