こんにちは(ケ)です。「タカヘ」はニュージーランドにいる絶滅危惧種の鳥です。
前回はカナの頻度についてつらつら書きました。今回はそれがクロスワードにどう影響するのかについて触れてみたいと思います。

まずは前回挙げた、語頭にくる頻度、語尾にくる頻度、語中で使用される頻度、それぞれを再掲。多い方から少ない方へと並べています。

語頭
シカコアキオジイハサセフタチトヒクミウスマテナホエケソニリツダヨゴユヤモブガドバワロメデゲレムギラボノヘネビグゼベパザプルゾヌポピペズヂヅ

語尾
ンウイクキリシツートルヤカチスミジラドコタマケヨメロエギノムサユビズゴレナブワバグネプアゲテオフモダガセヒハニザソボデベゼヌパホポピゾペヲヅヘヂ

語中
ンウイシクカツキヨリコジユトータセチヤサオアスラガマミケノルドテハエナロダブモフバソメニレワヒギゴホビゲムグネボザズデゾベゼプヘパヅポヌヲピペヂ

この3種類の順番がどう関係し合っているのかを、グラフに表してみたのが下図です。それぞれのカナで、単語に含まれる数(語中で使用される数)、語頭になる数、語尾になる数を、それぞれタテ軸ヨコ軸にとってプロットしています。
グラフだなんて数学みたいで頭が痛くなっちゃう人もおられるでしょうか。その場合は「大まかに言うと、左下から右上に向かって伸びる固まりになってる」すなわち「使用頻度の高いカナは、語頭や語尾にも現れることが多い」とざっくり理解してもらえばOKです。語頭に最も多く現れるシを表す点は、その「左下から右上に向かって伸びる固まり」の右上端あたりにありますね。
これはまあ、あたりまえと言えばあたりまえの傾向。けれどその傾向から外れるカナがいくつかあります。

その典型が、イ・ウ・ンの3つのカナ。この3つは、語頭よりも語尾に現れることがずばぬけて多いのです。グラフの中でも、イ・ウ・ンを表す点の位置は、ほかの点の集まりからは離れた位置にあるのがわかりますでしょうか。
イ・ウ・ンは熟語でよく使われるカナだというのが、語尾になりやすいことと関係が深いのではないかと思います。漢字の音読み、イ・ウ・キ・ク・ツ・ヨ・ンなどで終わることが多いですからね。
それと少し似ているのがリ。リは語尾に来ることが多いのですが語頭には現れにくいカナなのです。だからしりとりではリで終わる言葉を返すのが地味に有効な作戦なのですよ。

語尾になかなかこないカナというのもあって、その典型例のひとつが「ヘ」。語頭にくる頻度で言うと「ヘ>ベ>ペ」の順になります。ところが語中での使用頻度になると「ベ>ヘ>ペ」となりますし、語尾になると「ベ>ペ>ヘ」。「ヘ」で終わる一般的な言葉というと八戸や二戸などの地名くらいしか思い当たらない状況。
ゾもこれに似た傾向のカナです。「○ソ」に比べると「○ゾ」に当てはまる言葉って少ないんですよね。
語尾にくるカナがクロスワードの言葉組みを制限することって多い気がします。クロスワード盤面に入れる言葉を選ぶとき、その言葉にからむ言葉の語尾にあたるマスに「語尾になりやすいカナ」が入るようにすると組みやすくなったりするのです。下図をご参照ください。クロスワードの盤面作りがうまくいかずに困るかたは、覚えておくと少し役立つかも。

とはいえ、困難を避けてばかりだと盤面の言葉の種類やリズムが単調になってくる気がするので、私は使用頻度の低いカナを意識して使うこともあります。使用頻度の低いカナを含む言葉、印象の強い言葉が多いですからね。
盤面に入れたい言葉が、語尾になりにくい文字を多く含んでいる場合、盤面の下端や右端に配置するよりは、外周から離したほうが言葉組みがしやすくなることもあるのです。下はその例。状況次第ではありますがしばしば使う手です。
盤面組みで苦労するとき、カナの頻度が原因になってる場合もしばしばありますから、そんなときにはちょっと発想を変えてみてはいかがでしょう。

クロスワードを解いているとき、出現頻度の低いカナが入っていたり、語尾になりにくいカナで終わる言葉が現れたりしたら、ここは作者が特別に力を入れて腕を振るったところなんだろうな、と想像してみるのも楽しいかも。
ということでカナの頻度の話はこれでおしまい。次回はなんの話をしましょう。黒マスの話などしてみようかな。