文章:(も)

2019年10月、消費税が増税され、私たちの生活の各局面において大なり小なり、
さまざまな影響を受けているわけです。
家計を直撃し、商品販売においては金額訂正に追われ、景気にも大いに影響があったことでしょう。ゆゆしきことです。

さて、本日筆者は当欄において、そんな大なり小なりの影響のうち意外と知られていない事象をご紹介したく、筆を執りました。

何かと申しますと、消費税増税により郵便料金も上がり、
たとえばハガキの料金は62円から63円へ、1円値上がりしました。
するとどうなるでしょう、それまで買い置いてあった62円切手では1円不足してしまうため、
1円切手を貼らないと郵便料金不足のためハガキが送れないわけです。

ところで、1円切手に何が描かれているかご存じでしょうか?
もちのろん、“日本近代郵便の父”こと前島密(まえじまひそか)の肖像が描かれているのであります。

すなわち消費税の増税は、
「買い置きの62円を使い切るまでの移行期間」を生み出し、
この期間において「前島密が添えられがちになる」という事象が現在日本に起きています。
「ひそかの肖像、ひそかにブーム」と言いかえて差しつかえないと、筆者は考えます。

さて、弊社こと株式会社ニコリには、たくさんの郵便物が届きます。
そうすると、ひそかブームなのでたくさんのひそかが貼られているわけですが、
通常切手というものは必要に迫られて貼るもの。
ちゃんと収まるよう、はがれないよう貼る以上のことは考えないものですが、
そんな中で「貼られ方の妙」により、たまたま前島密がちょっと味わい深くなっているものが見つかるのです。
本日はお日柄もよろしいので、それらをピックアップし、みなさんといっしょに鑑賞していこうと思います。
以下、ニコリに届いた郵便物から切り取ってご紹介しますよ。

花with密

普通切手の基本デザインがわりかし花、ということもあって、花に添えての前島密というのは頻出パターンですね。
肖像のいかめしさとセピアな感じが、花によってだいぶん和らぐ感じがいたします。

 

鳥with密

花と来たら鳥。デザインはいろいろですが、緊張感が抜けるというか、ほんわかするような。
最後の2つ、鳥二丁使いで来たのは、たまたまか、鳥好きな方だったんでしょうか。

 

犬with密

チャウチャウの写真でも愛らしいイラストでも、とにかく犬。徳川綱吉や上野公園の西郷隆盛像のように、偉人と犬という組み合わせには歴史由来の安定感があるような気がします。

 

水辺with密


清涼感ただよう密たちです。ただ、前島密は航海術を学んでいたり、渡英していたり、最期は横須賀のほうで亡くなっていたりということで、そういう背景を知ると縁ぶかい取り合わせであるとも言えます。

 

キャラwith密

うってかわってファンシー。きゃいきゃい。
最初からの4つは、リラックマ、熊プー、リサ&ガスパール、郵便のキャラクター「ぽすくま」ですね。何かクマ多めですが。
最後のやつは、ぽすくま&くまモンですが、下に貼られているせいでまるで前島密を称えているよう。

 

聴かされ密

シンバルを鳴らす先の、密。
トランペットをふかす先の、密。
これはうるさい。

 

仲違い密

あのころは息の合った3人組だったのに、芭蕉・ウサギコンビと密1人とで意見が分かれ、互いにそっぽを向いてしまった……という感じの貼られ方。
仲直りできるか。それ以前に、どんな3人組だったのか。

 

すごい前の切手

今回の趣旨とは何も関係ないですがこちらは、前回の東京五輪のときの切手を含む55年以上前の切手三丁使いです。こんな切手で届くハガキもあるのですね。レアだなあ。

 

来ました。

そして記事も終盤にして、ついにこちらの言葉を言うお時間がやってきました。
僥倖、というのはまさにこのことを言うのでしょうか、こちらは1円切手の3連チャン。
要するにつまり…えー、みなさまもご唱和ください。
せーの…

\「3密」/

いやー、ありがとうございます。
消費税増税の申し子ことひそかブームが生み出した、もう1つの3密がこちらになります。
こちらのハガキを送ってくれた方に心より感謝。

 

バージョン違い

ところでここまで出てきた1円切手は大体同じように見えますが、実は時代によって微妙にデザインが変わっているので、よく見ると少しずつ違うという点にも、最後に注目しておきましょう。
「1」という数字の位置や書体などがそれぞれちょっとずつ違っていますね。なお、最後の方は64円分も切手を貼ってしまっていて、純粋に1密を損しています。もったいないので気をつけよう!
(おわり)