文責:(竹)

去る2019年11月16~17日、東京の入谷にて、「ドラフツ64日本大会」という、ドラフツの国際大会が開かれました。

 ←大会の風景。いっせいに対戦!

参加国は、ロシア・ウクライナ・サハ・モンゴル・日本。ドラフツの大会としては、日本初となる国際大会でした。

 ←選手用の名札。国旗つき!

…とここまで読んだところで、多くの方は以下のような疑問を抱いたのではないかと思います。

●ドラフツってなに?
●ドラフツの国際大会ってすごいことなの?
●なんで急にそんな話始めたの?

それぞれ、お答えしていきますね。

●ドラフツってなに?
1対1で競うボードゲームの一種です。日本で「チェッカー」として遊ばれているゲームと似たゲームです。「ああ、そっちなら知っているよ」という方も多いかな?
8マス×8マス(10マス×10マスのこともあります)の盤面上で、白い駒と黒い駒をそれぞれ動かして対戦します。初期配置は、こんな感じ。

 ←初期配置

盤面のマスは、写真のようにチェック模様にぬりわけられています。ドラフツでは、駒はナナメ方向にしか動かさないので、色がついている側の32マスだけで遊ぶことになります。
自分の番がきたら、自分の駒1つをナナメ前方に1マス動かします。相手の駒が1マス前にあるときは、それを取って、2マス先に進みます。その先に相手の別の駒があれば、そのまま続けてそれを取って2マス先に進めます。続けて進むときは、後ろナナメも含めて別のナナメ方向へ進めます。そうやってお互い取りつ取られつしていき、

 ←実際の試合の途中

最終的に、相手の駒を全部取るか、動かせる駒をなくしたら勝ち、というのが基本的なルールです。
ここまでは日本でいう「チェッカー」と共通のルール。ドラフツでは、ほかにいくつかルールが加わります。ここでは、特に重要なものを2つ紹介します。
まず、盤面の一番奥の列(相手から見ると最前列)に到達した駒は、その場で「キング」に成ることができます。将棋で歩や桂馬が敵陣に入ったときと同じ感じですね。ドラフツでは、駒を裏返すのでなく、盤面の外から自分の駒を持ってきて2枚重ねにします。上の写真は、実は、白い駒が1個キングに成っている写真なのでした。キングは、前後のナナメ1方向に好きなだけ進めて、通り道に相手の駒があれば取れます。かなり強力な駒で、キングを1つ作れれば圧倒的優位に立てます。
もうひとつのルールが、ドラフツの「キモ」となる(と私が思った)ルールです。自分の手番のとき、相手の駒を(飛び越して)取れるときは、取らなければいけません。たとえ、駒を取ったら逆に不利になる、とわかっている状況でも取らないといけないのです。逆をいえば、「相手が自分の駒を取らざるを得ないような状況」を作り出すことで、相手の行動を自分の思い通りに制御できる、ということです。このあたりが、戦略的というのか、詰め将棋っぽいというのか、ニコリやパズルが好きな人には楽しめるポイントかなあと思います。

●ドラフツの国際大会ってすごいことなの?
すごいことです。このドラフツ、日本ではあまり知られていないのですが、海外ではいろいろな国で遊ばれています。国際ドラフツ連盟(IDF)という、基盤のしっかりした国際団体も存在しているくらいです。国際大会もさまざまな国で毎月のように開かれているそう。IDFのページを見ると、世界中に加盟団体がちらばっていることがわかるかと思います。
そこで、今回の日本大会。日本で初めてとなるIDF公認の大会でした。審判員や大会進行のためのツール、必要な備品などは、もちろんIDF公認のもの。参加国・地域の数はやや少なめだったとはいえ、れっきとした国際大会でした。日本のドラフツ史上、いやボードゲーム史上、エポックメイキングなできごとだったのです。

●なんで急にそんな話始めたの?
もちろん「おもしろそうだから!」ですが、それ以外に、ニコリもこの大会を「後援」していたから、それをお知らせしたかった、というのも、正直少しあります。

 ←大会の垂れ幕にも

 ←「後援:ニコリ」の文字が!

今回のドラフツ大会は、日本チェッカー・ドラフツ協会(JCDA)がIDFとの共催大会として開催しました。日本ではマイナーなゲームのため、スポンサーも獲得できておらず、会場の確保から当日のお茶菓子やランチ、入賞者への賞品、ほかもろもろ、ほぼ手弁当。そんな中でも、海外からいらっしゃる選手のみなさんに少しでも多くいい思い出を持ち帰っていただこうと、JCDAはクラウドファンディングに踏み切っていたのでした。そこにニコリも一口乗らせていただきました。

…と、疑問が解決したところで。

本来はここから試合の詳細レポートなどを書くべきところなのですが、そのへんはIDFの報告ページに譲りたいと思います。日本語じゃなくてペコン。

試合中は真剣そのものでしたが、試合の外ではみなさん終始なごやかなムード。表彰式の前にサハ共和国のみなさんの民族楽器による演奏会が催されたり、

 ←演奏会

大会後にはみんなで懇親会を開いたり。部外者の私も、上野のアメ横への道順を聞かれたり、ウクライナみやげのマグネットシートをいただいたりと、仲間に入れてもらえました。よかった!
式の進行も開会から表彰式まで流れるように進んだし、ところどころで盛り上がっていましたし、ハタから見ても大成功に終わったと言っていいのではないでしょうか。見ていて楽しかった!

ちなみに、演奏会で演奏しているみなさんの中には、子どもさんも混ざっていますが、彼ら彼女らも全員代表選手です。試合中は、おとなの選手も容赦なくなぎ倒していました。つまりドラフツは海外ではそれだけ小さいころから遊ばれているゲームだということですし、世界のレベルは高いということでもありますね。

ドラフツは、日本ではまだまだ発展途上のゲームですが、今回の国際大会が世界に追いつけるきっかけになればいいなと思いました。
というわけですので、ドラフツに興味を持ったあなた、よかったらJCDAのサイトへどうぞ。入門者向けの情報がたくさんありますよ。私も勉強しないとなあ。

ちなみに、JCDAによりますと、「2023年には日本でアジアドラフツ選手権が開催されるかも。あなたも代表選手を目指しませんか?」とのこと。これから練習すればまだ間に合いそうですね!