文章・座談まとめ人:(塚)
ある1つのパズルについて編集部がじっくり語り合う、パズル座談会のコーナーです。なんと、およそ9カ月ぶりの開催なのだそうです。お久しぶりです。
11月の新刊『きっちり推理パズル』の発行に合わせて、今回のテーマは「マトリックス推理パズル」。文章を手がかりに、表に○と×をつけて解くタイプの推理パズルです。
竹:推理パズルは文章でヒントが与えられていますけど、ニコリのパズルだと意外とそういうのないですよね。
焼:その文章の余剰の部分で、ストーリーが作れたりといった余地がありますよね。
も:そうね。
竹:で、その中にしれっと、実は意味のある情報がまざっていたりするのが面白い。最後の方のどうでもいい雑談かと思いきや、そこに「これとこれは違う」っていう情報が混ざっていたり。
も:私は推理パズル苦手でした。それと、数独と推理パズルは似ていると思う。
溝:一度も思ったことなかった。それは斬新。
竹:タテヨコの各列に○が1個ずつしか入らないっていうところとかは少し似ているよね。それで考え方も似ているのかな。
も:手筋は知るのと知らないのとでは大違いな気がします。手筋については「きっちり推理パズル」の中でもきっちり解説されていますね。
溝:ペンパ本とか『気がるに』では説明していないところも、「きっちり推理パズル」にはいろいろ書いてあります。
竹:できるだけマトリックスの中だけで解こうとすると、上達するのかな。文章に戻ればすぐわかっちゃうようなこともあるけど、そうじゃなくて。
も:前にも言った気がするけど、マトリックス全体を使わずに解いている人もたまにいます。
く:最上段だけをチェック表代わりにして。
塚:解きやすくするための表なのに、あえてそれを使わないんですね…。
竹:でも、パズルやる人はそういうところあるかもね。
溝:問題によってはその解き方もすぐできるけどね。
焼:電話で説明するときなんかも、「この表は使っても使わなくてもいいです」って説明するんですよ。
く:まあ解ければいいんだもんね。
焼:でも、私もニコリに入る前まではそういう発想がなくて、マトリックスを埋めるパズルだと思っていました。
く:答えを出すのが最終目的の人もいるし、きれいに○と×で埋めるのが最終目的の人もいるし、それは自由。本人のこだわりだから。
も:答えのページには、マトリックスは載ってないし。
将:ところで、解いた後のそれぞれの項目のことって、どれくらい気にしますか? 例えば、「○○は△△が好き」というのならまだいいんですけど、足の速さとかものの値段とかで、たまに常識的な範囲から逸脱する答えになる場合がありますよね。
焼:前に、たばこを1日に何十箱も吸う、みたいなのがありました。
溝:つい最近もなんかそういうのあったなあ。
も:自分が作るときは気にするけど。
く:一般的にこれだったらこれだろう、みたいな組み合わせのものだとしたら、あえてそうならないような答えにしたりはするけど。おにぎりだったらお茶だろうってところを、あえてココアにしちゃうとか。
竹:気にするか気にしないかでいったら、気にするかな。で、常識的でない答えになったときでも、まず「おかしい」と思わずに、そういう状況もあるのかなって考えちゃう。
く:あるいは、どこか違う星の話にしちゃうとか。
も:でも、ものの値段とかだと調べてみたりすることもある。文章を読まなくてもこっちが上だな、みたいな推測が立っちゃうと嫌だなと思って。例えば「文房具買いました」ってときに、消しゴムと鉛筆と万年筆だったら、明らかに万年筆は110円じゃないだろう、みたいな。
竹:結果が想像できないほうが、解く気になりますよね。
も:ともかく設定は重要ですよね。
将:作家ごとにオリジナルの登場人物がいて、それが毎回違うことをしているっていうのも楽しいですよね。
く:自分の趣味を出しやすいよね、作る人からすると。それが受け入れられるかどうかはおいといて。
も:項目の縦読みとかも。
溝:今回の本も、表紙問題の4人の名前を縦読みすると「きっちり」になっています。『気がるに推理パズル』では縦読みも「きがるに」になっているけど、『まるまる推理パズル』では「まるまる」が無理だったから「たのしい」にした。
竹:あとは、架空の固有名詞が、なにか問題のテーマと関連するものから持ってきていることが多いですよね。僕もたぶん全部は気づけていないと思うんですけど。
溝:編集の段階では、基本的には問題なさそうと思って通していますけどね。
く:チェックで「んっ?」って思ったのは、いちおう調べてみたりはするけどね。
塚:新刊の宣伝も兼ねているので、オススメのポイントなどあったらお願いします。
も:とにかく、手筋はしっかり書いてあります。
く:先生と生徒のところをちゃんと読むとすごくいいですよ。先生と生徒の表情がけっこうコロコロ変わっているから、ぜひ見てほしい。
も:私は、いちばん最後の問題が面白かったなあ。
竹:見た目はふつうですね。
溝:そうなんですけど、考える方向が、おやおやって感じになるんですよ。
も:わりと欄外を使うのかなっていう感じですよね。しかも、難しそうなんだけど、ちゃんと考えれば解けるなって。当たり前ですけど…。
く:解けないのは載せないからねぇ(笑)。
も:なんというか、スマートなんですよ。
溝:だいぶ違ったでしょ。まだ推理パズルも、いろいろ面白いことができるなとは思いました。
も:ヒントの出し方もあるのかもしれないですけど。
塚:それとは別に、項目が18個あるマトリックスを使う問題があって、個人的には、あんなに項目がたくさんある問題は初めて解いたような気がしました。
溝:たしかに18はなかなかないね。
竹:作るのも大変だもんね。
溝:他にも、ヒントの文章が面白い問題がいろいろありますよ。ただ、文章が長い人は本当に長くて、申し訳ないけどすごくカットした。
く:ストーリー重視にすると、筆が走るから。
も:文章で遊ぼうと思うとね。