文章:(焼)
「月で育ったボクらのナゾトキ」の問題編はいかがでしたか?
ここからは解答編。どうぞごゆるりとお楽しみください。
少年
「まずはこの『?』に入る、お団子の重さを求めてみよう」
少女
「…えぇっ、でもこれ解くためには、連立方程式ってやつ使わなきゃダメでしょ。
この前学校で習ったけど、あんまり覚えてないよ」
少年
「連立方程式でも解けるけど、もっと簡単な方法もあるよ。
ためしに重さがわかってるお団子の個数を足してみて」
少女
「…うぅん…、白いお団子が6個、黒いお団子が4個だけど…」
少年
「じゃあ、『?』のほうの個数は?」
少女
「そっちは白いのが3個、黒いのが2個
…あっ!ちょうど半分じゃん!
ということは、128+100を2で割ればいいわけで…
…
……
………
…………
……………
………………114だ!」
少年
「おぉ! お見事! じゃあ今度はこっちの紙を見よう」
少女
「こんなの簡単!
1、1、4の下のあみだくじをたどって読めばいいだけでしょ?
…えっと、
…ス
……ス
………キ
…ススキだ!
やった! 解けた! 天才!」
少年
「…あっ…、そ、それももちろん正解だと思うんだけど、
本当にそれだけかな?」
少女
「えっ、まだなにかあるの?」
少年
「重要なのは、なぜお団子とハカリをいっしょに送ろうとしていたのか、
というところだよ。さっきみたいな計算で解けるなら
いっしょにお団子とハカリ送る必要ないだろ?」
少女
「…う~ん、そうかなぁ?
…計算の手間を省くためとかじゃなくて?」
少年
「…きっと、この送り主は実際に月でお団子を計って
もらいたかったんじゃないかな? 地球ではなく、この月でね」
少女
「…あっ! 重力!
月の重力は地球の6分の1だから、
さっきの114っていう数字も6分の1にして考えるんだ!
114の6分の1は…
…
……
………19!」
少年
「それをさっきのあみだくじに当てはめて考えると…」
「…ス
……キ
…スキだ!
すごい! アームストロング級の天才!」
少年
「…この送り主はきっと自分の秘めたる想いを
こんな形で伝えたんだろうね」
少女
「…でもこれ、あなたが書いた手紙でしょ?」
少年
「…えっ?」
少女
「こんな紙切れが丘の上に2枚揃って落ちているのも不自然だし」
少年
「…」
少女
「この紙を拾う前に、月の重力が地球の6分の1っていう
ヒントを出していたのも偶然にしてはできすぎだし」
少年
「……」
少女
「ハカリの数字が地球と月の間でぴったり6分の1になるかどうかも疑問だよね。
たとえば、ハカリってふつう上にお皿が載っている状態で
『0』を指すように調整されていると思うけど、
そのお皿自体も重さが6分の1になるから、
地球で『0』を指していたハカリは月に持ってくると、
マイナスを指しちゃうんじゃないかな?
この問題、1g少ないだけで答えがスネとかになっちゃうし
そんな不確定要素が多い告白なんてする?
この手紙の主は、お団子とハカリなんて本当は準備してなかったんじゃないかな?
…そういえば、私がお団子とハカリが近くに落ちてないかどうか聞いたとき、
あなたは、なかったって即答したよね。
人間、『ある』ことを証明するのは簡単だけど、
『ない』ことを証明するのは難しいはず。
でもあなたにはそれができた、
それは最初から『ない』ことを知っていたからじゃない?」
少年
「………キャラ変わってない?」
少女
「…で、どうなの? これは誰からの手紙なの?」
少年
「…
…ど、どうだろう?」
少女
「…
…あっ、そう。
…じゃあ、さっさと地球のスケッチ終わらせて帰りましょう」
少年
「…そうだね。…それにしても」
少女
「…なに?」
少年
「…今日は地球がきれいだね」
~完~
…ということで「月で育ったボクらのナゾトキ」でした。
十三夜に合わせて、「月とお団子でナゾトキを作ろう!」ということでこんな感じになりました。
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