文章・座談まとめ人:(塚)
前回から少し間があいてしまいました、パズル座談会のコーナーです。
第4回のテーマは、おなじみ「スリザーリンク」です。3月には、ペンシルパズル本の合本『ペンパ全集』の第2巻が発行されます。昔のスリザーリンクの問題をたっぷり楽しめる本なので、最近の問題と解き比べてみるのも面白いですよ。お楽しみに。


スリザーリンクの本やゲームソフトの数々。

:初出は1989年6月のニコリ26号だそうです。
:平成元年生まれってことか。
:今年で30周年ですね。
:平成とともに歩んできたと。
:せっかくですし、今年盛り上げていきたいですね。
:20周年のときに『月ニコ』で特集をやった記憶がありますけど、名前を間違って覚えている人が意外と多い。
:「スリーザリング」とかね。3までの数字で輪っかを作るから。
:もともとは「スリザー」っていう遊びですよね。それの起源はどこなんでしょう?
:それは海外だと思います。
:スリザーだと、格子の上に線を書いていくんですね。
:でも、最初にニコリに載ったスリザーリンクはマスの中に線を引くんだったよね。
:過去のニコリの本に載った原作者へのインタビュー記事では、原作者が「最初はもっとスリザーに似た形だったんだけど、ナンバーリンクへの憧れがあったので、ナンバーリンクっぽい形になった」と語ってます。
:誌面に載る前の原型はどういう見た目だったのか、とても知りたいです。


 

:もう少し基本的な話をした方がいいんですかね。
:スリリンを解くにあたっての姿勢とか。
:×印をつけないで詰まってしまう初心者さんが多いですよ。
:袋小路に気づかないとかね。
:枝分かれしてしまうから×印になるっていうのも、実は難しい考え方のような気がします。
:それと「33」っていうところ(3がタテやヨコに2つ並んだところ)が、入り口としては普通に難しいと思います。
:本当に簡単な入り口って「03」と「020」しかないんですよ。で、そこはわかるけど、その後どうすればいいのかっていうのがとても難しい。まず、スリリンでは線にどういう性質があるのかっていうのをわからないといけない。しかも定理(線を引ける場所がすぐに決められる、数字の並び方のパターン)によっては「いろいろあるけど結局こうするしかないから」っていうものもあって、ハードルが高い。
:最初のころ、その定理を自分で見つけられたときは嬉しかった。
:最近私が気に入っているのが、「ある1つの点からは、線が2本出るか、1本も出ないかのどちらかです」っていう説明です。点がみんなで手をつないで輪っかをつくると思ってください、そうすると輪っかを作っている点からは必ず線が2本出ますよね、って。
:でも、線を引くパズルなのに点の話をするのかということになってきて、理解できる人にはそれでいいんだけど…っていうところですよね。
:やることはすごい単純でわかりやすいと思うんだけどなぁ。
:そこを単純でわかりやすいと思うかどうかっていうところがまた…。
:慣れてしまえば自明なんですけどね。
:ただ、理屈はともかく「こう引ける」っていうのを先に出しておくことで、解きはじめとしてそこから広げやすい、というのは、定理のいいところかなと思います。
:数学の公式みたいなもんですかね。
:でも、「33」はやっぱり扱いにくいなぁ。
:媒体向けの問題でもとっかかりにしちゃってるけどね。
:やさしい定理って「0」を使うしかないんです。だけどナナメの「03」だって大変だし。
:ナナメの「03」は、それこそ(も)がさっき言った「点から線が2本出るか1本も出ないか理論」を使えばいいのか。でも、それ使っても難しいよね。
:実践的には、4×4くらいの問題をいっぱい解いてもらうほうがいいのかもしれない。
:そのサイズはあんまりないですよね。
:昔、誰かが定理集のドリルみたいなのを作ってた。
:その手の本とか、すごくいいよなぁと思っているんですよね。
:初心者向けのスリリン本ですかねえ。
:あるいはスマホとかで、今使えそうなところだけが表示されて、ある程度進むとまた隠されている数字が少しずつ表示されていって、最終的には全部できます、みたいなのはどうだろう。
:ゲームのチュートリアルみたいな感じ?
:自分で見つけるのが面白いというのもあるから、それを潰していませんかってことにもなるけど。


 

:スリリンは、だいぶ早くに完成されている感じがあるけど、最近はどうなんでしょう。
:最近は、相当やさしくはなっているんじゃないですかね。この間、ジャイアント傑作選の編集をやったら、どれも非常に難しくて。別にスリリンに限らない気もするんですけど。
:一時期は、数字のない空間が広い問題なんかが流行っていましたけど、最近はそんな感じでもなくて、バランスのいい問題が多いです。
:ナナメが流行っていたときもありましたね。
:結構初期のころだよね。
:最近また少し出てきた。
:流行も、繰り返したりしているものなのかなぁ。
:歴史が長いからね。
:ここ最近で革命的だったのは、二水酸化カリさんやGutenさんかな。ニコリ165号の着順発表もGutenさんの問題だった。
:これはぜひ解いてみてくださいね、ということで。
:あと、スリリンはカッターで解くと楽しい、というのを私は毎回言っています。出来上がるとぺろぺろーってなって。
:間違えられないですけどね。


 

:スリリンは、まったく知らない人に広めるのは少し苦しいですけど、上達していく楽しみは確実にあると思います。
:やっぱり、定理は自分で見つけてナンボだよね。
:いま解けなくて困っている人は、ぜひ自分で定理を1個見つけてほしい。1個見つかると、その調子で他のも見つけたくなるので。
:スリリンの楽しさって、サッカーに例えると、1個1個の手筋自体はパスやドリブルなんだけど、この状況でここにパス通したぜ、みたいな、わーって楽しくなるところがあって、だからいまいち語りにくいんじゃないですかね。
:具体的な問題のこのところがよかったよね、みたいなのは語りやすいかもしれないけど、スリザーリンクというパズル全体でこれはこうですっていうのは、語りにくいのかも。
:1個1個のサンプルが具体的すぎるんだよね。
:でも、パスサッカーという例えはいいですね。
:自分の中ではいい例えを見つけた。スリリンの語りづらさは、パスサッカーの語りづらさであると。